【有馬記念】リスグラシュー、悔しい敗戦も…ライバルがいたから頑張れた

[ 2019年12月18日 09:00 ]

我らLast Run(3)~ありがとう、そしてさようなら~

18年府中牝馬Sを制したディアドラ
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 リスグラシューを担当する北口浩幸厩務員はかつて、松元省一厩舎でトウカイテイオーの調教をつけていた。テイオーはほぼ3年間のキャリアで12戦しかしていない。故障がちな馬をスタッフたちが支えて、クラシック2冠、翌年のジャパンC、そして1年ぶりで奇跡の復活を遂げた有馬記念とG14勝。その経験は糧となった。

 リスグラシューは大きな故障と無縁。スタッフのケアがあってのことだ。

 「新馬と未勝利以外は全て重賞に出走した。使いたいレースは全て無事に使えたのは凄いこと」

 北口厩務員も戦績を振り返って感心しきり。厳寒期と酷暑期は休む。トレセンに帰ってくるとステップを踏んでしっかり仕上がる。レースではいつも全力。競走馬のお手本だ。21戦のキャリアには印象的な勝利も敗戦もあるが、思い出のレースとして挙げたのは2着だった18年府中牝馬S。勝ち馬はディアドラ。

 「とにかく悔しかった。今まで届かず2着が多かったけど、ディアドラには後ろから差されたからね」

 この馬の惜敗は、届かず2着が多い。阪神JF、桜花賞、18年ヴィクトリアマイル。しかし、この府中牝馬Sはリスグラシューが上がり3F32秒6の剛脚を使いながら、ディアドラに32秒3というとてつもない脚を繰り出されて差されての2着。この背景には前年の秋華賞がある。リスグラシューが先に抜け出しながら、ディアドラにそれ以上の末脚でかわされてG1制覇ならず。「とにかく悔しい」は1年前を想起したゆえだろう。

 両馬にライバルのイメージはあるだろうか。むしろ時折、進む道が交差する同志ではないか。海を渡って強さを証明する志を同じくしている。今年4月の香港クイーンエリザベス2世Cで道は重なりリスグラシューが先着(3着、ディアドラ6着)。その後、リスグラシューはオーストラリアのコックスプレートで、ディアドラはイギリスのナッソーSで、大輪の花を咲かせた。リスグラシューは有馬記念で引退するが、ディアドラは現役を続行する。

 北口厩務員は「これからもディアちゃんには頑張ってほしいよね」と戦い続ける同期の同志にエールを送った。

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2019年12月18日のニュース