【有馬記念】矢作師、リス有終へ開業15年目で初参戦「出走するなら勝負になる馬で」

[ 2019年12月18日 05:30 ]

ラストランに挑むリスグラシューと矢作師(撮影・亀井 直樹)
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 豪華メンバーがそろう「第64回有馬記念」(22日、中山)。アーモンドアイとの最強牝馬対決に挑むリスグラシューを管理する理論派トレーナー、矢作芳人師(58)が自身初となる有馬記念への思い、有終Vへの意気込みを熱く語った。

 ――多くのG1に出走させているが、意外にも有馬記念は初参戦。
 「15年目にしてやっと出走できました。今までは香港に適合しても、有馬記念に適合する馬がいなかったんです」

 ――有馬記念に特別な思いがある?
 「16歳(開成高校在学時、77年)、トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスの時ですね。友達と開門前から中山競馬場に並んで、ゴール前のラチ沿いから見ていました。関東人だから関東馬のトウショウボーイを応援していた。勝ったのは関西馬のテンポイントだったけど、本当にいいものを見たと思った。それが(競馬を)仕事にしようというきっかけになったレースです。そこから余計に勉強しなくなったけどね(笑い)。だから、有馬記念はただ出走させるだけでは嫌だった。出走するなら勝負になる馬で、ファン投票で選ばれたいという思いが強かった」

 ――それがファン投票2位のリスグラシュー。
 「ファン投票で選ばれた関係者はうれしいと思う。俺はそれ以上にファン投票の重みを感じています。それだけの人がリスグラシューを見たいと思ってくれているのが感慨深い。この馬は先入観にとらわれてはいけないと教えてくれた。想像を超えた成長をしている。2~3歳の時のイメージでは、海外に登録するなんて考えられなかった。東京に行くだけでも(馬体減など)大変だったから。決めつけは良くないし、ドシッと待ってあげることが大切だと分かった。こんな牝馬は見たことない。まだまだパワーアップしているよ」

 ――鞍上は宝塚記念、コックスプレートを連勝中のダミアン・レーン。
 「いろんな一流ジョッキーからオファーを頂きました。その中で、ファン投票のレースですから、ファンが一番望むことは何か?と考えた。宝塚記念、コックスプレートをダミアンで勝っている。ダミアンが乗るリスグラシューが一番しっくりくるだろう、という考えからJRAに申請した。速やかに認めていただいて感謝しています。リスグラシューにとってベストのジョッキーが乗ってくれることがうれしいですよ」

 ――アーモンドアイが参戦する。
 「コックスプレートの後に戦ってみたいと言った通り。普段の俺はメンバーが弱くて賞金が高いを身上としているけど、有馬記念に限っては違う。暮れの一番強い馬を決めるのが有馬記念。近年はそうなっていなかった。だからアーモンドアイの参戦は本当にうれしい。盛り上がるね。ワクワクしているし、ファンと同じように楽しみ。ただ、他の牡馬で強いのもいるし、アーモンドアイ1頭だけを意識してはいません。競馬はマッチレースではない。みんなで戦うのだから、相手をリスペクトして、他の全てがライバル。警戒している馬はたくさんいますよ」

 ◆矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961年(昭36)3月20日、東京都生まれの58歳。開成高卒。ホースマンを志してオーストラリアで修業。05年にJRA調教師として厩舎を開業。12年にディープブリランテでダービー制覇。JRA通算6524戦624勝、重賞36勝(G17勝)。競輪に造詣が深く、馬主でもある元競輪選手・山田裕仁氏をはじめ、多数の選手と交流がある。

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