【エ女王杯】ライラック スミヨンで女王返り咲き!阪神JF以来1年11カ月ぶりG1制覇

[ 2019年11月11日 05:30 ]

<エリザベス女王杯>抜け出したクロコスミア(中央)を内から差したラッキーライラック(左)が戴冠(撮影・長嶋 久樹)
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 名手の手で復活を遂げた。牝馬の頂上決戦「第44回エリザベス女王杯」が10日、京都競馬場で行われた。3番人気ラッキーライラックが最内から差し切り、17年の阪神JF以来となるG1・2勝目。クリストフ・スミヨン(38)は14年ジャパンC(エピファネイア)以来となるJRA・G1・3勝目。自らが騎乗した2度の凱旋門賞でともに2着だった父オルフェーヴルの無念を晴らす勝利となった。 レース結果

 パリの悔しさを京都で晴らした。ラッキーライラックをVに導き、スミヨンはお立ち台で胸を張った。「G1をオルフェーヴルの子で勝てたことに、とても縁を感じている。凄くうれしい。僕は彼で凱旋門賞を勝てなかったが、その無念を晴らせた気分だ」
 最後の直線での激しい追い比べ。迷わずインを突いた。独特のアクションで追いまくる。振るった右ムチは12発。逃げ粘るクロコスミアを残り100メートルで捉えた。スミヨンは左の拳を握りしめた。

 12年の凱旋門賞。オルフェーヴルの馬上でスミヨンは直線、勝利を確信したが内ラチに向かって斜行するロス。ソレミアに差され2着に終わった。翌13年は怪物トレヴの前に2着。日本の競馬をリスペクトするスミヨンにとって、2度の銀メダルは心残りだった。ラッキーライラックも内へと誘導したが娘は真っすぐ走り切った。「一瞬、オルフェーヴルが(12年の)凱旋門賞でラチにぶつかったことを思い出したが、そんなところは全然なかった。メンタルがしっかりしていて、とても素晴らしい牝馬だ」

 すっかりベテラン風情が漂うスミヨン。いい意味で枯れた。短期免許での来日は7年ぶり。1メートル73と騎手にしては高身長ゆえ減量は楽ではないが、半年前から肉を断ち、野菜中心の生活に。「友達のボクシングのチャンピオンやトライアスロンの選手を見習った。今は体調がいい」。マイルCSにはダイアトニック。ジャパンCにはシュヴァルグラン。有馬記念にはサートゥルナーリアとG1に有力馬が続々スタンバイ。その華麗な手綱さばきはますます輝くはずだ。

 松永幹師は「何も言うことのない素晴らしい騎乗でした」。騎手時代の00年にファレノプシスで制しておりレース史上初となる騎手と調教師でのダブル制覇。昨年のチューリップ賞以来、1年8カ月ぶりの勝利に「ここまで長かったが、やっと勝てた。レースの幅も広がった」と馬を称えた。次走は未定だが、17年阪神JF以来のG1制覇で、いよいよ迎えた第2の黄金期。満開のライラックが次々と咲くか。

 ◆ラッキーライラック 父オルフェーヴル 母ライラックスアンドレース(母の父フラワーアレイ)牝4歳 栗東・松永幹厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績12戦5勝 総獲得賞金4億73万9000円。

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