【根岸S】バレット岩手魂DASH!加速ラップで4F55秒4

[ 2019年1月24日 05:30 ]

坂路を追い切ったラブバレット(撮影・西川祐介)
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 G1フェブラリーS(2月17日、東京)の優先出走権が懸かる「第33回根岸S」(27日、東京)の追い切りが23日、美浦、栗東両トレセンで行われた。禁止薬物事件の余波を受け今月、岩手競馬から加藤和宏(62)厩舎に移籍したラブバレット(牡8)は、3年連続3回目の挑戦に向け坂路で躍動。バトンを託された指揮官は“岩手魂”を胸に臨む。

 一昨年、昨年に続き美浦で調整するラブバレットだが、今年はJRA馬として根岸Sに臨む。その背に岩手の名手・菅原勲師の姿はない。凜(りん)とした表情で同馬を引く笹野美香厩務員もいない。

 「馬には何の罪もないのに本当にひどいこと。凄く素直で可愛い。担当していた厩務員さんが愛情をかけていたのが分かる。それだけに今回のことはやり切れないだろう。何とか岩手の星を世に知らしめられるように頑張りたい」

 16、17年と2年連続で岩手競馬の年度代表馬に輝いた岩手の雄を引き継ぐことになった加藤和師は、愛馬を新天地に送らざるを得なかった菅原勲師や担当の笹野厩務員の気持ちをおもんぱかった。

 昨夏から立て続けに起こった岩手競馬の禁止薬物事件。昨年12月26日に5頭目の禁止薬物陽性馬が発生した影響で、翌27日に園田・兵庫ゴールドTに出走するはずだったラブバレットも公正保持のため競走除外になった。事件の余波を受けてラブバレットは同競馬所属で根岸Sに出走できなくなり、活路を求めてJRA移籍を決断した。

 1月5日に美浦トレセン入厩後は、順調な調整過程を歩む。最終追いは坂路単走で4F55秒4。強めに追われて上がり3Fは13秒8〜13秒5〜13秒3ときれいに加速ラップを刻み駆け上がった。「全国いろんな競馬場で走っているベテランだし、うちに来てからも環境の変化に戸惑うことなく落ち着いている。元々12月のレースに向けて仕上げていた馬なので最終追いは調整程度だが、動きは良く、毛ヅヤもいい。走れる状態。この辺で頑張ってくれれば今後も楽しみ」。見守った加藤和師が目を細めた。

 昨年は逃げたサイタスリーレッドが最下位13着に沈むハイペースを2番手で追走する苦しい展開だったが、一昨年10着から着順を上げ9着に踏ん張った。その後も交流G3・北海道スプリントC2着、同クラスターC3着と、交流戦線で存在感を示してきた。岩手からJRAへと受け継がれた思い。師は最後にもう一度「岩手の期待を一身に背負っている」と言葉に気持ちを込めた。

 ▽岩手競馬の禁止薬物事件 岩手競馬では昨年7月以降、水沢所属の4頭から相次いで禁止薬物のボルデノン(筋肉増強剤)が検出されたため、9月22日、11月10〜12日、同17〜19日の開催を休止。監視カメラ増設や出走前の事前検査を実施するなど再発防止策を取っていたが、12月26日に新たに盛岡所属のネイチャーサムソン(晴山厩舎)からボルデノンが検出され、再び12月30日〜19年1月7日の開催を休止した。県競馬組合管理者の達増拓也県知事は「岩手競馬を標的とした故意的なものである可能性が高まったと考えられる」とコメント。21日にはネイチャー以外の晴山厩舎の管理馬全頭が禁止薬物陰性と確認され、同組合は23日に容疑者不詳の競馬法違反容疑で県警に告発状を提出。引き続き3月23日からの再開を目指し、原因究明と再発防止に取り組むとした。

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2019年1月24日のニュース