【ホープフルS】ジャスタ95点!赤馬ほうふつ優駿の気品

[ 2018年12月25日 05:30 ]

御料馬のような流麗な馬体のアドマイヤジャスタ
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 沖縄県が琉球国だった1702年、1頭の赤い子馬が石垣島・名蔵湾の浜辺に上陸しました。島で暮らす大城師番という下役人が自宅に連れ帰り、愛情を注ぐと、美しい姿の優駿に成長します。赤馬の名声は首里の琉球国王・尚貞の耳に届き、御料馬として召し抱えられます。ところが、首里に着いた途端、馬役人の手にも負えない暴れ馬になってしまう。そこで元の飼い主・大城師番を呼び寄せたところ、尚貞王の前で流麗な走りを見せたと伝えられています。

 アドマイヤジャスタの馬体を見ながら、赤馬の姿を想像してみました。北海道ノーザンファームで生まれたこの赤茶色のサラブレッドも絵画から抜け出したように美しい。首差しが奇麗に抜けて、背中からトモへ流麗なラインを描いています。パワーよりも切れを感じさせる体つきです。スラリと胴長の鹿毛。マイルから2000メートルで実績を残してきましたが、さらに距離が延びても対応できる体形です。

 2歳馬だけにキ甲やトモの筋肉、腹袋は成長途上ですが、立ち姿には赤馬の像のような気品が漂っている。程よい力でハミをかみながら太い尾を自然に垂らし、バランス良く四肢を地に着けています。賢そうな小顔、聡明(そうめい)な目、竹を割ったような耳…。貴公子然としたたたずまいです。とてもよく手入れされたタテガミはスタッフの心尽くしの表れ。赤馬に大城師番が注いだような愛情を感じずにはいられません。

 元の飼い主を背にした途端、美しい肢体を伸ばした赤馬。「この赤馬は師番と不離一体の名馬で、何者もこれを私することは不可能である」。尚貞王は人馬の絆に感動し、赤馬を師番に返します。♪いらさにしゃよ(何とうれしいことか)、今日ぬ日…。八重山民謡の名曲「赤馬節」は愛馬を連れて石垣島に帰る師番の喜びを歌い上げたものだそうです。アドマイヤジャスタ陣営にも快哉を叫ぶ日が来るでしょう。名馬の相を伝える体つきです。

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2018年12月25日のニュース