【王将戦】谷川浩司17世名人 第4局解説 菅井の変化球“相手にせず”藤井の横綱相撲

[ 2024年2月11日 04:55 ]

谷川EYE・A図
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 【谷川EYE】王将4期の谷川浩司17世名人(61)が7、8日に指され、藤井の開幕4連勝で決着した第73期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)を解説した。菅井竜也八段がカド番で採用したのは10年以上前から指し続ける変化球、4手目△3二飛。経験値の少ない力戦型でも即応できた藤井の理解力を称えた。

 第4局のこの一手は27手目▲4七銀(A図)。藤井が、菅井の飛車と馬が利くマス目へ右銀を動かした。右銀の利きは金1枚のため、一見飛車か馬の大駒1枚と金銀の2枚替えが避けられないように映る。

 実は▲4七銀に△同馬は、▲4三歩と4二飛の利きを止める手がある。▲4七銀は15分の考慮。23手目▲6八王、25手目▲7八王がノータイムだったため「(21手目)▲3八銀に44分考えた辺りから、出るタイミングを計っていたのだと思います」と指摘した。

 そもそも馬を6五に、飛車を3筋、2筋、さらに4筋と動かしたのは先手に▲4七銀を許さないため。それでも問題ないとばかりに藤井に踏み込まれては構想自体に問題があった。

 菅井は4手目△3二飛を1月31日のA級順位戦でも指した。佐藤天彦九段戦で9手目から違う将棋になった末、71手で敗れていた。

 「藤井王将は事前に作戦を考えるタイプではありませんが、時々やるならまだしも、続けて指すのでは。菅井八段が作戦に困っていた可能性があります」

 多数派である居飛車党の藤井と、少数派である振り飛車党の藤井による対抗型シリーズ。経験値に勝る菅井が1日目から形勢を損ねる将棋が第2、3、4局と続いては勝ち目が薄かった。

 同時に際立ったのは藤井の充実ぶりだったという。振り飛車党との2日制は初めて。1日制での昨春叡王戦での接戦続きもあり、苦戦の予感はあったが「藤井王将の横綱相撲。どういう棋士が、どういう作戦で挑めば勝ち目があるのかイメージが全く湧かない」と、語る言葉に窮するという。

 今年度の残り2カ月足らず。残る1冠、棋王戦の行方と共に注目を集めそうな歴代最高勝率の更新も「破られそうにない記録が次々破られていますから」。10日の朝日杯は決勝では敗れたが可能性ありとみていた。(構成・筒崎 嘉一)

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