【王将戦】谷川浩司17世名人 王将戦7番勝負を読む 菅井八段 三間飛車から四間飛車に変更も

[ 2024年1月20日 04:30 ]

【王将戦第1局】A図
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 王将4期の谷川浩司17世名人(61)が第1局を解説するとともに第2局を展望した。注目の開幕局、菅井竜也八段は先手で得意の三間飛車を選択したが、敗れた。対局後の11日、名人戦A級順位戦で見せた四間飛車が第2局の伏線になる可能性もある。

 7番勝負は第1局から異例の展開になった。近年は研究の進化によって、2日制対局なら1日目終了時点で終盤の入り口まで進むこともある。ところが今回は超スローペース。1日目はついに駒の交換が起きず、歩以外が駒台へ載ったのは終局していても不思議でない2日目午後5時34分が初めて。先手菅井が藤井の角を取った91手目▲5三角成だった。

 「中盤戦が長く、我慢比べのような将棋になった。平成の初めに戻ったような時間の進み方でした」

 相穴熊特有の戦いで、結果的に先に音を上げたのは経験値のあるはずの菅井だった。藤井が70手目、4四角を△3五角(A図)とし、角交換を迫った局面。▲同角と角交換に応じる選択もあったが、菅井は▲5七銀と利きを遮断して角交換を拒否した。

 「せっかく長い戦いをしようと▲5七銀としたなら、その後も辛抱できていればよかった。本譜でいけると思ったのか、やはり苦しくて勝負手を選んだけれど不発だったのか」

 その20手後、藤井が90手目△5七歩と歩を垂らし、と金作りを狙った局面では今度は▲5三角成。角交換へ踏み切り、一直線の寄せ合いへ突入した。

 この決断に、一貫性の欠如を指摘する。藤井にと金を作らせない▲5九歩なら、もう5筋へ歩は打てなくなるが「まだまだ長い戦いでした」。藤井の右金に飛車を取らせる間に95手目▲4四歩と歩を垂らしたがその代償までは得られず。104手目△6四角と攻防に打たれて大勢は決した。

 開幕局は菅井の三間飛車だった。タイトル戦で両者が初対決した昨春叡王戦。千日手指し直しになった2局を含め、藤井の3勝1敗の計6局全て三間飛車だったのに続く戦型選択だった。居飛車党と振り飛車党の第一人者による頂上対決。では第2局、菅井はどこへ飛車を振るのか。

 勝率上、優位な先手番。経験値で勝る対抗型での相穴熊。菅井にとってその第1局を落としたのは痛いが、11日のA級順位戦、第2局と同じ後手番の渡辺明九段戦で見せた四間飛車が暗示的ではある。

 「先手で、最も自信を持つ三間飛車で敗れたことでシリーズの戦い方が難しくなった。でもいくつか作戦を持っていた方が絞られないのは確かです」

 三間飛車にこだわるのか四間飛車か、第3の選択肢か。対局開始から菅井の決断に熱視線が注がれる。

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