山田太一さん 「男たちの旅路」シリーズ 戦争体験者、身体障がい者も題材に

[ 2023年12月2日 05:25 ]

2009年、本紙のインタビューに応じた脚本家の山田太一さん

 「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」などの名作ドラマを生み出した脚本家の山田太一(やまだ・たいち、本名石坂太一=いしざか・たいち)さんが11月29日、老衰のため川崎市の施設で死去した。89歳。東京都出身。葬儀は家族で執り行う。喪主は長男の石坂拓郎(たくろう)氏。家族や人間模様をこまやかに描き出すことに秀でた一方、社会性を持たせた作品を数多く残した。2017年に脳出血で倒れ、療養生活を送っていた。

 1976年にNHKで始まった「男たちの旅路」シリーズで山田さんは、戦争体験者と戦後世代の価値観の衝突を軸に、老いの孤独や身体障がい者の苦悩を真正面から取り上げた。大衆娯楽としてのテレビドラマが、真摯(しんし)な社会的メッセージを発し得ることを証明した。同作第1部に主演した森田健作(73)は「セリフを大事にしている方だと感じました」と追悼。TBS「たんとんとん」(71年)の撮影で母親役のミヤコ蝶々さんに追いかけられるシーンで「やめて、やめて、やめて」と「やめて」を3回言ったところ「台本は2回なので2回にしてください」と指摘されたという。


 ≪87年発表小説英国で映画化 来春日本公開≫ 山田さんが1987年に発表し、2003年に英訳されて海外でも出版された小説「異人たちとの夏」を英国のアンドリュー・ヘイ監督(50)が映画化した「異人たち」が来春、日本で公開される。脚本家が幼い頃に亡くなった両親と再会するひと夏の不思議な体験を描いた作品。現代の英国に舞台を移し、アンドリュー・スコット(47)らが出演。日本では88年に大林宣彦監督が秋吉久美子(69)らを起用して映画化し、話題を呼んだ。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2023年12月2日のニュース