悲喜こもごも、今年の七夕はにぎやかだった

[ 2023年7月14日 00:00 ]

横須賀市が開催する音楽アワードを天国から支援する内田裕也さんのポスター
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】2019年3月17日に79歳で永眠したロック歌手の内田裕也さんにとって、七夕は縁深い特別な日だ。娘の也哉子さん(47)が俳優の本木雅弘(57)と結婚したのが平成7年(1995年)7月7日。そして今年も裕也さんの名前が七夕に光を放った。

 その日は午後2時から神奈川県横須賀市役所で、バンドコンテスト「MIND ROCK AWARD 2023」の概要発表会見が行われた。ラブ&ピースをスローガンに掲げる同アワードは、不屈のチャレンジ精神を持ち合わせたプロアマ問わずのバンドに贈られるもので、裕也さんをアイコンとして起用。そのロック魂を継承しようというものだ。

 タレント上地雄輔(44)の父親としても知られる上地克明市長(69)は冒頭、「やっとこの日がやってまいりました」と感無量の様子であいさつ。偶然だろうが、市長の年齢が69(ロック)というのもおもしろい。

 市長は裕也さんが生前に撮っていた「僕は今あの世にいます。ロックンロールで生きてロックンロールで死んでいけたことに感謝します」という映像をユーチューブで見て触発されたと明かした。
 奈良県の葬儀会社のCM用に15年に撮影されたもので、19年4月3日に東京都港区の青山葬儀所で営まれたロックンロール葬でも流されて参列者をドキッとさせたことを覚えている。演出は裕也さんの主演映画「コミック雑誌なんかいらない!」の滝田洋二郎監督(67)だ。

 裕也さんを「尊敬申し上げていた」と明かしたロック好きの上地市長は「愛と自由、そして平和への思いを横須賀から全世界に伝えていきたい」と力強く語った。SMAPなどを手掛けてきた音楽プロデューサー野澤孝智氏(62)が参画するのも注目される。

 応募は8月24日まで受け付け、優勝バンドは11月3日に横須賀芸術劇場で開催予定の「YOKOSUKA ROCK,N ROLL FESTIVAL」のオープニングアクトに起用されることが決まっている。

 会見を覗いた後、急いで東京に戻り、午後6時から千代田区一ツ橋の如水会館で営まれた「崔洋一監督 お別れの会」に出席した。昨年11月27日に73歳で亡くなった監督。存命であれば前日の7月6日が74回目の誕生日だった。

 「月はどっちに出ている」「血と骨」など骨太の作品を多く発表した崔監督のデビュー作が83年公開の「十階のモスキート」で、主演したのが裕也さんだった。これが縁となり、崔監督は裕也さんがライフワークとして開催していた年越しライブに毎年顔を出していた。その律儀さにはいつも頭が下がったものだ。

 お別れの会には親交のあった約450人が足を運んだ。大島渚監督の夫人で女優の小山明子(88)をはじめ、藤竜也(81)、小林薫(71)ら俳優たちや監督仲間、そして交友関係の広さを物語るように辻元清美氏ら政治家の姿も見えた。

 当初、進行役を務める予定の人間が新型コロナに感染してしまい、急きょ代理を務めた女優の中山忍(50)の奮闘にも最後、大きな拍手が送られた。まるで、1つの作品を撮り終えた後の打ち上げのようなアットホームな雰囲気。喪主を務めた青木映子夫人も気丈に応対し、監督も天国でほほ笑んでいたに違いない。

 裏で忙しく立ち回っていたのは東映チームだった。長く監督協会の理事長を務めた人だけに各映画会社もこぞって手伝いに人を出しているだろうと思ったが、そんなこともなかった。「薄情だね」とつぶやいた参列者もいたが、筆者は2日前に手塚治元社長のお別れの会を済ませたばかりの東映スタッフに心の底から「ご苦労様」と声をかけたくなった。

 会が始まる前には会場にもロックバンド「頭脳警察」のボーカル&ギターのPANTAさんの悲報が届いた。享年73。裕也さんとも長い親交があり、年越しライブにもたびたび出演していた伝説のロッカー。七夕に静かに召された。

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