元TBSアナ 岡部達さん死去、87歳 具志堅用高V13全て実況、昼番組司会で“マダムキラー”

[ 2022年8月30日 04:00 ]

岡部達アナウンサー(1988年撮影)
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 TBSのお昼のワイドショー「3時にあいましょう」やスポーツ中継を担当した同局の元アナウンサー岡部達(おかべ・たつ)さんが26日午後9時26分、前立腺がんのため東京都調布市の自宅で死去した。87歳。台湾・台北市出身。29日に葬儀・告別式が調布市内の斎場で営まれた。喪主は長男陽介(ようすけ)さん。お別れの会は開かない。

 早大卒業後の1957年にラジオ東京(現TBS)に入社。64年の東京五輪や世界フィギュアスケート選手権、プロ野球中継などを担当した。

 88年に「3時に…」の司会となり、主婦層から人気を集めて“マダムキラー”と称された。94年の定年後は、TBSアナウンススクールで講師も担当し、後進の育成にも貢献。長男の陽介さんによると、晩年は悠々自適な生活を送り、最期は家族に見守られながら亡くなったという。

 長いキャリアの中で特に知られているのがボクシング中継。具志堅用高(67)が76年10月、グスマン(ドミニカ共和国)を7回KOで破ってWBA世界ライトフライ級王者になった試合から、日本記録となる13連続世界王座防衛を果たした試合まで、全てのテレビ中継を担当した。岡部さんが中継を担当すると具志堅が勝つという“不敗神話”もあった。

 試合前には2週間ほど泊まり込みで取材を行うこともあったといい、具志堅とはいわば同志だった。リングを離れても深い絆で結ばれた。岡部さんの退職時には具志堅の誘いで一緒にゴルフへ行ったといい、陽介さんによると、生前「なかなか、選手とそんなことはないから印象に残っている」とうれしそうに話していたという。

 具志堅は2週間ほど前には岡部さん宅を訪れ、2人で言葉を交わしたという。葬儀にも参列。「私のタイトル防衛戦は13回、全て岡部さんが実況してくれました」と涙ながらにあいさつした。岡部さんは“戦友”に惜しまれながら、旅立った。

 ◇岡部 達(おかべ・たつ)1934年(昭9)11月17日生まれ、台湾・台北市出身。1957年にラジオ東京(現TBS)入社。58年から75年までプロ野球中継を担当し、64年の王貞治の4打席連続ホームランをラジオ中継。83年からアナウンス部長を務め、86年には秘書室秘書部長に就任し、現場を離れた。

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