【前回の鎌倉殿の13人】第29話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「頼家 切なる思い…泰時 困惑の名君誕生」

[ 2022年8月7日 08:00 ]

イラストレーターの石井道子氏が描いたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第29話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「頼家 切なる思い…泰時 困惑の名君誕生」
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は7日、第30話が放送される。新進気鋭のイラストレーター・石井道子氏が描く“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)とともに前回の第29話(7月31日)を振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第29話は「ままならぬ玉」。誕生したばかりの“13人衆”から中原親能(川島潤哉)梶原景時(中村獅童)が姿を消し、御家人たちのパワーバランスが崩れ始めた鎌倉。北条義時(小栗)は北条と比企との抗争激化を懸念し、息子・頼時(のちの泰時、坂口健太郎)と比奈(堀田真由)に決意を語る。そんな中、正室・つつじ(北香那)が2代鎌倉殿・源頼家(金子大地)の次男・善哉を出産。三浦義村(山本耕史)が乳母夫となるが、比企能員(佐藤二朗)は娘・せつ(山谷花純)が出産した長男・一幡こそが嫡男だと主張し、けん制。一方、北条時政(坂東彌十郎)は妻・りく(宮沢りえ)から、政子(小池栄子)の次男・千幡を頼家の跡継ぎにする策を聞き…という展開。

 対処に困惑しながらも伊豆の農民を救った頼時に、頼家は「伊豆では大層な評判と聞いておるぞ。証文を破るとは思い切ったことをしたものだ。これで諸国の百姓たちが、証文を蔑ろにする。まぁ、よい。ともあれ、褒美を取らせよう。これを機に、名を改めよ。わしは間もなく征夷大将軍となる。同じ『頼』の字を持っていては、おまえも心苦しかろう。『泰時』。『泰』は天下泰平の『泰』の字」。頼時は不服ながら「ありがたき幸せ」と頭を下げた。

 泰時は「納得いきません。頼時の『頼』は頼朝様の『頼』でもあるんです」と訴えたが、義時は「もう忘れろ」。義時のアドバイスに従い、初(福地桃子)の土産に持ち帰った山積みのきのこに、義時が「このきのこは」と尋ねると、泰時は「初にあげたら、全部突き返されました。踏んだり蹴ったりです」。義時は“そんなはずはない”と言わんばかりに食い気味に「え?」と驚いた。

 頼時に対して振り向きざまの頼家の首の角度がSNS上の話題となった。

 そして、政子の助言を受け、せつは不信に陥る頼家に気持ちをぶつけた。「嫡男は善哉様で結構。私はただ、あなた様とお話がしたいのです。私と一幡をお側においてほしいのです。比企は関わりございません!そういう者もおるのです。それも退けては、鎌倉殿は本当にお独りになってしまいます。鎌倉殿をお支えしとうございます」――。

 夜、古井戸のある御所の裏庭。頼家は義時に「わしは一幡を跡継ぎにする。比企の顔色をうかがっておるのではない。せつだ。せつは強い。父上が母上と手を携えて、この鎌倉をつくったように、せつとなら、鎌倉をまとめていけるような気がする。わしは弱い。信じてくれる者を頼りたい」と決意を明かした。

 今回の“大河絵”は振り向きざまの頼家と「父を超えたい」「人を信じたい」という切なる思い、泰時の名君片鱗と改名への複雑な思い、夫の気持ちを解かしたせつの情熱を1枚にまとめた。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画、ウェブマガジン表紙などを手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。ライブペインティングや即興似顔絵も各地で行う。

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