菊地幸夫弁護士 阿武町が誤送金4630万円全額確保も「返して済むなら警察要らない」

[ 2022年6月21日 15:55 ]

菊地幸夫弁護士
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 菊地幸夫弁護士が21日放送のTBS系「ゴゴスマ~GO GO!smile~」(月~金曜後1・55)に生出演。山口県阿武町の給付金誤送金問題の新展開について言及した。

 番組は前日20日に行われた誤送金された4630万円の返還を求める民事裁判の弁論準備手続きについて紹介。阿武町側の中山修身弁護士によると、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕された田口翔容疑者側の弁護士が、裁判官の前に誤入金した4630万円のうち、回収できていなかった残りの340万円を差し出したという。ただ、中山弁護士は町として残りの340万円を法的に確保していたため、受け取りを拒否した。

 田口容疑者側の弁護士は340万円については「ホワイトナイト」とされる東京の第三者から借り入れたと説明していることを取り上げた。

 菊地弁護士は一連のやり取りに「結論的に言うと、町側の弁護士さんと田口被疑者側の弁護士さん、双方のコミュニケーションが取れてない」と指摘。「もう少し言うと、例えば田口被疑者側の弁護士さんが340万円を返すというのは、いわば取引ですよね。普通、我々の業界では事前に“いくら返します。これはどういう名目です。領収書用意しててくれますか”と打ち合わせを当然やる。(弁論準備手続きの)当日は、それをパパパッと事務的に済ませばいい。こういう下準備をするんですよ。それを裁判所にいきなり持って来てポンと置かれて返すと言われても相手も困る」と田口容疑者側の弁護士の唐突ぶりを疑問視した。

 その上で「もう1つ、町側の代理人の先生も340万円返ってきたなら、そこは被疑者側が認諾といって返さなきゃいけないお金と認めて返す義務があると認めているわけですから、“他から返ってきましたから返さなくていいですよ”と一言お知らせしてくれてもいいんじゃないかと思うんですよ」と阿武町側の中山弁護士もコミュニケーション不足ではとした。

 「もし、返ってきたことが事前に分かったら、(田口容疑者側も)ホワイトナイトから借り入れる手続きも要らなかった。山口の弁護士会に双方の先生が登録されて会員と思う。知らない顔じゃないと思う。もうちょっとコミュニケーションを密に取っていただいたら」と双方の連絡不足が招いたとした。

 ただ、20日の弁論準備手続きによって、阿武町側が誤送金した4630万円のほぼ全額を法的に確保したことが判明。田口容疑者は電子計算機使用詐欺の罪で起訴されているが、今後の刑事裁判については「返して済むなら警察はいらない。偶然かもしれない。田口被疑者側が自分で返したお金じゃないですから。返ってきたから過去のものでいいやと軽い罪でと僕は思わない」と語った。その上で、執行猶予の「可能性は段々高くなってきた」とした。

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2022年6月21日のニュース