坂本龍一 がん悪化ステージ4も「最後の瞬間まで音楽を作れたら」、「新潮」新連載で病状公表

[ 2022年6月8日 05:00 ]

坂本龍一
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 がん治療を公表していた世界的音楽家の坂本龍一(70)が、7日発売の文芸誌「新潮」で、自身のがんの進行度が最も悪い「ステージ4」であることを明かした。また、両肺に転移したがん摘出手術を昨年10、12月に受けたことも公表。「敬愛するバッハやドビュッシーのように最後の瞬間まで音楽を作れたら」と意欲を示している。

 闘病の経過や現状を明かしたのは、同誌で始めた新連載「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」。第1回の題名は「ガンと生きる」で、この1年のうちに大小6つの手術を受けたことを告白した。

 坂本は2014年に中咽頭がんと診断され、寛解するも、昨年1月に直腸がんの治療を受けていることを発表。当時、具体的な治療法などには触れていなかったが、連載では直腸の原発巣(最初にがんが発生した部位)と肝臓2カ所、リンパに転移した腫瘍、さらに大腸を30センチも切除したことを明かしている。がんと診断された際には、何も治療しなければ「余命半年」と告げられ、手術は予定を8時間超えて20時間に及んだという。

 昨年10、12月と2回に分け、両肺に転移したがんを摘出するなど、この1年で6回の手術を受けた。しかし、まだ病巣は残っており、手術ではなく投薬で治療していくという。手術を受けた同12月には、映画「戦場のメリークリスマス」(83年)のテーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」のメロディーを595音に分割し、その1音ずつをNFT化して発売し、話題となった。

 新潮社によると、坂本は09年刊行の自伝「音楽は自由にする」(同社)の続編として、同年以降の音楽活動や死生観を数回にわたって振り返る。3月には都内で行われた東北ユースオーケストラ公演に出演し、直腸がん公表後初のステージで仕事復帰。関係者によると、坂本は現在、通院治療しながら音楽活動をしている。

 新潮社を通じて発表したコメントで、夏目漱石が49歳で亡くなったことを挙げ「せっかく生きながらえた」と表現。「残された時間のなかで『音楽は自由にする』の続きを書くように、自分の人生を改めて振り返っておこうという気持ちになりました」と思いを明かしている。

 【坂本龍一の闘病経過】
 ▼2014年7月 中咽頭がんを患っていることを明かし、演奏活動を休止し治療に専念すると発表
 ▼15年5月 札幌市長を表敬訪問。がん公表後、初の公の場
 ▼同8月 山田洋次監督の映画「母と暮せば」で音楽を務めることが発表され仕事復帰
 ▼同9月 J―WAVEのラジオ番組「RADIO SAKAMOTO」でメディア復帰
 ▼16年3月 東北ユースオーケストラの第1回コンサートで公演復帰
 ▼21年1月 直腸がんと診断され、摘出手術を受けたことを発表
 ▼22年3月 東北ユースオーケストラのコンサートでステージ復帰

 《YMOでは高橋幸宏が脳腫瘍摘出》坂本は1978年、細野晴臣(74)の呼び掛けで高橋幸宏(69)と3人でYMOを結成して活躍。シンセサイザーや電子音を駆使した斬新な音楽で日本の音楽シーンを席巻し、80年代のテクノポップブームをけん引した。83年に“散開”を宣言し、以降はソロでの活動が中心に。その後、93年に一度“再生”し、以降はメンバー同士が定期的にコラボをするなどしている。高橋は20年に脳腫瘍の摘出手術を行ったことを公表。細野は現在、デビュー50周年を記念した企画を行っている。

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