関口武史氏 一歩も引かぬ藤井竜王の「5四角」

[ 2022年1月23日 05:30 ]

第71期ALSOK杯王将第2局第1日 ( 2022年1月22日    大阪府高槻市「山水館」 )

王将戦第2局第1日・A図                                 
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 【関口武史 第1日のポイント】第2局、高槻対局で渡辺王将が選んだ戦型は角換わり。今シリーズのエース登板は藤井の連勝を阻止するストッパーとなるか。次の注目は銀の配置で、▲3七銀(17手目)▲4六銀(21手目)と早繰り銀に本局を託した。

 早繰り銀は事前研究を深めやすい戦型で、藤井竜王の対策の的をどれくらい外せるかもポイントになる。藤井の△7四歩(18手目)がそつのない一手で、早繰り銀と相性のいい7八王型をけん制している。それでも▲6八王と上がるとすかさず△7五歩と先攻できるのだ。

 渡辺が▲7八金(19手目)と形を整えると藤井は静かに△7三銀(20手目)と上がり、戦型は「相早繰り銀」という、やや珍しい形となった。この戦型は左右の端歩の組み合わせが形勢に影響するため悩ましいのだが、本局では両者少考で素直に突き合う。互いに事前準備の確かさを裏付ける時間配分である。

 序盤の折衝を終え、先攻するかに見えた渡辺が▲6六歩(A図)と足を緩めたのが印象深い。後手に先攻させてから▲2五歩(33手目)の継ぎ歩が渡辺用意の作戦だった。本譜▲2四歩(31手目)の押し込み、4六銀型に▲3七桂(45手目)と中央に厚みを加え、▲5六角(47手目)と開幕局のお返しとばかりに渡辺が自陣角を打ちおろす。展開によっては両サイドの端攻めまで見通した組み立てである。対する藤井は△5四角(48手目)。一歩も引く気配がない。(スポニチ本紙観戦記者)

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