さいとう・たかをさん死去 分業制の先駆者「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いてほしい」遺志継ぎ連載継続

[ 2021年9月30日 05:30 ]

10年、「ゴルゴ13」の人形を背にインタビューに答える、さいとう・たかをさん
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 世界を股に掛ける凄腕スナイパーを描いた「ゴルゴ13」で知られる漫画家さいとう・たかを(本名斉藤隆夫=さいとう・たかお)さんが24日午前10時42分、すい臓がんのため死去した。84歳。和歌山県出身。葬儀・告別式は親族で行った。漫画制作に分業体制を持ち込んだ先駆者。スタッフが思いを受け継ぎ、1968年から続く「ゴルゴ13」は今後も雑誌連載を続ける。

 「ゴルゴ13」の掲載誌「ビッグコミック」を発行する小学館によると、作品の継続は「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いてほしいという、さいとう先生のご遺志によるもの」という。同誌は10月25日発売の次号を追悼号とし、人気の過去作を掲載。続く11月10日発売号で連載を再開する。また、リイド社の「コミック乱」で連載中の「鬼平犯科帳」については「現在のところ未定だが継続が濃厚」(同社)とした。

 さいとうさんは、親しい漫画家によると、がんも含めて多くの病気を経験。「目を悪くして親族に手を引かれて歩いていた時期もあった。2~3年前も、手を手術したが“まだ描く”と言うから驚いていた」という。

 大阪府堺市育ち。中学を卒業すると、実家の理髪店で働きながら描いた「空気男爵」で1955年にデビューした。当時、大阪で勢いのあった「貸本漫画」の出版社から「台風五郎」など多くの作品を発表し、57年に上京。主に児童向けに人気を博していた手塚治虫らの漫画とは一線を画す、大人向けの「劇画」で多くのファンを獲得。「劇画工房」を結成するなど、劇画界のリーダー的存在となった。

 漫画制作に分業制を導入した先駆者でもある。60年に「さいとう・プロダクション」を設立。「ゴルゴ13」も脚本協力、作画などを各分野のプロフェッショナルが担当した。自身は構成、作画、脚本を担当し、全体を指揮。元アシスタントの漫画家によると「スタッフは最も多い頃で20人を超え、今も10人はいるようだ」という。

 「ゴルゴ13」は青年漫画誌の創刊ラッシュとなった68年に開始。超A級の射撃の腕を持つ主人公・デューク東郷のアクションにリアルな国際情勢を絡めたハードな作風で、現実の出来事をモデルにした物語も描かれた。

 貸本時代から書き続けた“殺し屋漫画”に、63年に漫画化を手がけた「007」シリーズの国際的要素が融合した「ゴルゴ13」は、大人の読者の根強い支持を受けた。

 単行本は今年7月に201巻が発売されて「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定。9月に202巻が発売され、さらに巻数を重ねていく。

 自らが生み出した分業制によって「ゴルゴ13」は、さいとうさんが天国で一読者になっても読み続けられる作品となった。

 ◇さいとう・たかを(本名斉藤隆夫=さいとう・たかお)1936年(昭11)11月3日、和歌山県出身。中学卒業後に理髪店を継いだが、55年に「空気男爵」でデビュー。大阪の貸本漫画界の衰退もあり、57年末に上京。60年に「さいとう・プロダクション」を設立。同プロの作品を出版する「リイド社」を74年に立ち上げた。「ゴルゴ13」のほか、池波正太郎の小説「鬼平犯科帳」などの漫画化も人気。76年小学館漫画賞、02年日本漫画家協会賞大賞を受賞、03年に紫綬褒章。

 【「ゴルゴ13」作品メモ】
 ▼ギネス認定 今年7月、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定。現在202巻まで刊行されている。累計発行部数は3億部超え。
 ▼52年の歴史で初休載 昨年5月、新型コロナウイルス感染対策として「3密」を避けるために1968年の連載開始以来、初めての休載を発表した。
 ▼理容チョキちゃん大賞 2003年に全国の理容店に「ゴルゴ13」が一番置かれている、という理由で「第1回理容チョキちゃん大賞」を受賞。
 ▼テレビ朝日「アメトーーク!」 2008年5月15日放送回で「ゴルゴ13芸人」が特集。タレントの東野幸治(54)、ケンドーコバヤシ(49)らが登場した。

 【「ゴルゴ13」超人伝説】主人公のデューク東郷は“神業射撃”だけでなく、全てが超一流のスナイパー。その一部を紹介する。
 ▼肉体 短期間の訓練でエベレストに登れる基礎体力があり、泳ぎはイルカ並みの速さとも。拳銃は0・04秒に1発撃ち、ナイフは0・17秒で抜ける
 ▼武術 空手、柔術、サンボ、古武道などは達人レベル
 ▼語学力 少なくとも18カ国以上の言語に精通
 ▼博識 医学、薬学のほかあらゆる科学の知識がある
 ▼武器 愛用のアーマライトM16自動小銃のほか、拳銃やナイフ、手りゅう弾、ガス兵器、バズーカ砲なども使う
 ▼最長射撃 M16の射撃では1500メートルの狙撃に成功。原発の爆発阻止のため、放射能蒸気で視界ゼロの中で配管を撃ち抜いたことも
 ▼報酬 相場は2000万円との説も。ただ、数百ドルで受けたこともある。毎回「スイス銀行への振り込み」を求める
 ▼拷問に強い 4日間不眠、足を焼かれる、肌に樹液を塗られて虫に食べられるなどの経験あり。体中に、ムチに打たれた無数の傷がある
 ▼絶倫 毎回違う女性と性行為。女性は全員とりことなるが、情愛には溺れず、危険を感じれば殺す

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