古代オリンピックを踏襲 休戦求めて始まった「4年に一度」

[ 2021年7月24日 05:30 ]

近代オリンピックの創始者、クーベルタン男爵
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 【クイズ王・伊沢拓司の五輪の書(1)】これであなたも五輪王!東京五輪の開幕に合わせて、TBS「東大王」などで活躍している東大卒のインテリタレント、伊沢拓司(27)の「五輪の書」がスタートします。五輪について今日から使えるうんちくを皆さんにお届けします。

 コロナ禍で1年遅れて始まった東京五輪。延期してもなお混迷を極めた今大会も、いよいよ開幕の時を迎えました。そこで注目したいのが、古代オリンピックの時からずっと守られてきた「4年に一度」という開催ルールです。

 五輪はフランスのクーベルタン男爵が「スポーツの力で世界平和を」と提唱し、1896年に始まりました。当時、世界は列強が世界分割競争を繰り広げた時代。そこでクーベルタンが目を付けたのが、紀元前に古代ギリシャ人が争いをなくすために始めた古代オリンピックでした。開催期間中はギリシャ全土で休戦協定が結ばれた、その先人たちの知恵を拝借したのです。

 実は「4年に一度」という周期も古代オリンピックを踏襲したものです。諸説ありますが、この4年周期は古代ギリシャ人が太陰太陽暦を使っていたことに由来するという説が有力。太陽暦の8年は太陰暦で8年3カ月に当たり、このズレが生じる3カ月間を利用してオリンピックを開催したのです。当初は8年周期で開催していたのですが、3カ月間のスポーツ行事はさすがに「長すぎる」ということで、半分の4年周期で1カ月半程度の開催へと変わったのです。

 今回の東京大会はその周期から外れたことで、暦の上では「平和の祭典」ではなくなりました。もとより政治・経済的な思惑から逃れられぬ五輪ですが、我々がこの1年に見たものもまた「平和の祭典」からはどこか遠いものだったように思います。とはいえ、史上初の無観客開催であることも含め、歴史上の貴重な一ページに出くわしていることは事実。今日から刻まれる物語は、一体どのようなものになるのでしょうか。

 ◇伊沢 拓司(いざわ・たくし)1994年(平6)5月16日生まれ、埼玉県出身の27歳。東大経済学部卒。開成高時代に全国高校クイズ選手権で史上初の個人2連覇。TBS「東大王」で人気に。19年、株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。

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