声優の若山弦蔵さん死去 88歳 映画「007」ボンド役、「スパイ大作戦」ナレーション

[ 2021年6月1日 05:30 ]

死去した若山弦蔵さん
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 映画「007」シリーズでショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドの吹き替えを担当した声優で、ラジオパーソナリティーとしても活躍した若山弦蔵(わかやま・げんぞう)さんが5月18日、心不全のため都内の自宅で死去した。88歳。旧樺太出身。葬儀・告別式は親族のみで済ませた。喪主は妻安子(やすこ)さん。お別れの会は行わない。

 長男によると、同日昼、若山さんが寝室で倒れているのを安子さんが発見。救急隊員が駆けつけた時には心肺停止状態だった。若山さんは心臓に持病があったが、前日まで変わった様子などはなく、元気だったという。

 独特の甘い低音で「マダムキラーボイス」「ビロードの声」と呼ばれた。「007」でのデビューは76年に始まったTBSでのテレビ放送版。これ以前のジェームズ・ボンドを担当していたラジオパーソナリティーの日高晤郎さんの声が高めで硬質だったのに対し、若山さんはプレーボーイにふさわしい軽さを含んでいて「適役」と評された。

 1952年にNHK札幌放送劇団に入団し、その後上京。テレビとラジオで多くのドラマに出演した後、洋画の吹き替えで人気を得た。「スパイ大作戦」ではピーター・グレーブス演じるジム・フェルプスの吹き替えを担当。テレビ朝日「暴れん坊将軍」シリーズのナレーションでも親しまれた。

 喉だけでなく、体調管理を怠らず、スポーツジムにも通い続けた。酒もたしなむ程度で、いつでも視聴者やリスナーに「あの声」と分かってもらうため、年を取っても声質が変わらないように留意していた。

 そのかいあって健康的で、73年からはTBSラジオ「若山弦蔵の東京ダイヤル954」を、前身番組から95年まで22年間休まずにパーソナリティーを担当。番組中に地震が起きた時などは落ち着いた声で対応し“突発事故”の処理にも定評があった。

 ◆若山 弦蔵(わかやま・げんぞう)1932年(昭7)9月27日生まれ、旧樺太出身。北海道・札幌南高卒。ラジオ、テレビドラマ、外国テレビ映画の吹き替えで活躍。当初は悪役や老け役が多かったが、「ローン・レンジャー」「モーガン警部」「バークにまかせろ」「鬼警部アイアンサイド」など多くの人気作で主演。「暴れん坊将軍」や、山口百恵さんが出演した「赤い運命」などでナレーションを担当した。アニメは「プロゴルファー猿」のミスターXなど。

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