クイーン「ボヘミアン・ラプソディ」のベストパフォーマンスは?

[ 2021年4月1日 11:15 ]

「クイーン全曲ガイド2」の表紙
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 【牧 元一の孤人焦点】クイーン研究家の石角隆行氏が新著「クイーン全曲ガイド2」を刊行した。

 クイーンの公式録音192曲を全オリジナルアルバムごとに徹底解説した「クイーン全曲ガイド」の第2弾。ライブ映像・音源やメンバーのソロ活動、フレディ・マーキュリー没後の活動を網羅し、バンドをより広く深く知ることができる。

 ここで記すのは、そのスピンオフ。クイーンの楽曲の中で最も広く世間に知られている「ボヘミアン・ラプソディ」についてだ。

 「ボヘミアン・ラプソディ」は1975年10月に英国で発売され、4週目にUKチャート1位。バンドにとって初の1位で、以後、9週連続で1位を記録した。

 この曲は5つのパートで構成されている。「アカペラコーラス」「バラード」「オペラコーラス」「ハードロック」「アウトロ・バラード」。交響曲に例えれば5楽章で、幼少の頃からクラシックピアノを学んだフレディならではの曲と言える。当時のクイーンはサポート奏者を入れず、メンバー4人だけで演奏。大ヒット曲だけにライブ演奏が求められたが、実際にステージで披露するにはハードルが高かった。

 石角氏によると、ライブで初披露したのは1975年11月の英・リバプール公演。この時は1曲通して演奏するのではなく、オープニングでオペラコーラス(テープ演奏)とハードロックの部分、中盤のメドレーコーナーでバラードとアウトロ・バラードの部分を演奏。分離型の披露だったという。

 通して演奏されるようになったのは、1977年11月の全米ツアーから。冒頭のアカペラコーラスは省き、バラード、オペラコーラス(テープ演奏)、ハードロック、アウトロ・バラードを披露。以後、ライブで定番曲として演奏され続けた。

 数多いライブ映像・音源の中で、ベストパフォーマンスはどれか?石角氏が推すのは「伝説の証/クイーン1981」(DVD・Blu-ray)に収められたものだ。

 1981年11月にカナダ・モントリオールフォーラムで行われたライブを撮影したもの。メンバーは終盤で「炎のロックン・ロール」「愛という名の欲望」を披露した後、「ボヘミアン・ラプソディ」に臨んだ。石角氏は「4人の気力、迫力が凄い。フレディの声もよく響いている」と指摘する。

 この年は結成10周年。3月に欧米ミュージシャンとして初めて南米で大規模コンサートを実現し、11月には初めてベストアルバムを発売。乗りに乗った状況で、ライブ映像を商品化するのもこの時が初めてだっただけに気合十分だったとみられる。

 もちろん、別のパフォーマンスを推すファンもいるだろう。「クイーン全曲ガイド2」を参考に聴き比べ、それぞれが結論を導き出すのも面白い。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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