【田中絹代賞】梶芽衣子 デビュー56年目「好きな仕事に出合えたと素直に実感」

[ 2021年1月22日 05:30 ]

2020年(第75回)毎日映画コンクール各賞決定 ( 2021年1月21日 )

田中絹代賞を受賞した梶芽衣子(撮影・荒木 大甫)
Photo By 提供写真

 受賞決定を聞いて「鳥肌が立ちました」と梶は興奮気味に明かした。日活「悲しき別れの歌」でデビューして56年目。「人生半分いろんなことを諦めて俳優業に専念してきましたが、それで良かったんだと、今回本当にそう感じます」

 スカウトされて映画界入りし、初年度は無我夢中。「女優を続けたい」と思わせてくれたのは、2年目に名画座で見た「流れる」(56年)だったという。花柳界の女性たちを描いた幸田文さんの原作を成瀬巳喜男監督が田中絹代の主演で映画化。「リアリティーのある芝居に殴られた感じ。こんな芝居ができるようになるまで役者をやりたいと思った」と記憶を呼び戻した。増村保造監督の「大地の子守歌」(76年)では同じ現場の空気を吸ったが、「緊張して顔を見ることもできなかった」と苦笑した。

 主題歌「怨み節」もヒットした「女囚さそり」や「修羅雪姫」など凄みのあるアウトローはタランティーノ監督はじめ海外でも絶大な人気。一方、増村監督の「曽根崎心中」では演技賞を総なめにするなど確かな力量で映画史を彩ってきた。昨年は「罪の声」で星野源が扮したテーラーの過去ある母親を存在感たっぷりに演じ、今年も数本の公開作が控える。始めたYouTubeチャンネルも好評。「やっと今、好きな仕事に出合えたと素直に実感しています」の言葉が充実ぶりを物語っていた。

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