「麒麟がくる」三淵藤英が助命断り切腹 谷原章介「晩節を汚したくなかった」「幕臣として正しい生き方」

[ 2020年12月28日 08:30 ]

大河ドラマ「麒麟がくる」第38話。助命嘆願を断り、切腹した三淵藤英(谷原章介)(C)NHK
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 俳優の長谷川博己(43)が主演を務めるNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜後8・00)の第38話が27日に放送され、俳優の谷原章介(48)が好演してきた室町幕府の幕臣・三淵藤英が自害した。

 大河ドラマ59作目。第29作「太平記」(1991年)を手掛けた名手・池端俊策氏(74)のオリジナル脚本で、智将・明智光秀を大河初の主役に据え、その謎めいた半生を描く。

 第38話は「丹波攻略命令」。坂本城にいる三淵(谷原章介)に、ついに信長(染谷将太)より切腹の沙汰が言い渡される。戦は依然として続き、光秀(長谷川)は三好の一党や一向一揆の連合軍との戦で戦果を挙げる。そんな折、美濃から斎藤利三(須賀貴匡)が主君・稲葉一鉄(村田雄浩)の下を逃れ、家臣にしてほしいと光秀の元へやってくる。利三の扱いをめぐって信長に呼び出される光秀は、家臣一人の命も大事にしない主君は国を収められないと説く。すると利三の命の代わりに、依然として敵対勢力が多い丹波を平定するよう命令される…という展開。

 谷原が演じた三淵藤英は、室町幕府末期の幕臣(将軍奉公衆)。光秀の盟友・細川藤孝(眞島秀和)の異母兄。幕臣として将軍・足利義輝(向井理)足利義昭(滝藤賢一)に仕えたが、義昭とともに信長に敗れた。

 第38話、三淵は明智家で光秀の次女・たま(芦田愛菜)と穏やかな時間を過ごした後、光秀は信長に助命嘆願するという申し出を断り、自害。「生ある限り、信長殿に付くことはない」――。

 谷原は「自分なりにやり切ったという思いでした。もちろん胸の内には、信長に付いていれば…将軍(義昭)と距離を置けば…そのような思いもあったのかもしれません。でも、それをしてしまうと藤孝と同じになってしまう。そうして生き残ったとて、三淵にとっては死んだも同然の意味のない生になってしまう。どう生きるかということは、どう死ぬのかということなのかもしれません。その晩節を助命嘆願で汚したくはなかったのです」と心情をくみ取った。

 前回の第37話。冷静沈着な男だった三淵が「藤孝、おぬし、義昭様や幕府の内情を密かに信長に漏らしておったな。いつから裏切り者に成り果てた!」と声を荒げると、藤孝は「私は気が付いただけです。政を行うには、時の流れを見ることが肝要だと。この世には、大きな時の流れがある。それを見誤れば、政はよどみ、滞り、腐る」。三淵は「それが公方様を見捨てた言い訳か」と涙を浮かべた。

 「(涙は)演出ではありません。本当は涙は流したくありませんでした。テストでも流れそうになったので、演出家の方と『流したくないね』と話していました。義を捨て、自己保身に走り時代に迎合した藤孝への思いは弟なだけに怒りと悔しさしかありません。胸にあったのは将軍家への申し訳なさ、身内が裏切ったことに対する無念さです。そんな弟の前で涙など絶対に見せたくないと思ってました。ただ堪えれば堪えるほど思いがあふれ、涙となってしまいました。床に打ちつけた拳は数日の間、痛みが残りました」

 幕府再興は叶わなかったが「最初から諦めていたわけではありません。守り切れなかった義輝様への無念、そのために義昭様を推戴して幕府の再興への希望を持った時期はあると思います。義昭様の将軍としての素養、摂津(片岡鶴太郎)をはじめとする幕府の旧態然とした幕閣、そして信長をはじめとする新しい勢力の台頭を見て、時代が確実に移り変わっていくことは分かっていました。ただ、三渕は自分の保身のために義を捨てることはできなかった。幕府が滅びていくのが天命なのであれば、それに殉じようという思いはだんだんと強くなっていきました。足利将軍家以外に仕えるつもりはなかったのだと思います。三淵は足利家とともに滅びようと覚悟を決めたのです」

 「最初、三淵は感情を表に出すことが少なく、策士なのか?特権意識で凝り固まった嫌なヤツなのか?どういう人間なのか、つかみづらかったです。物語が進むにつれ、徐々にその姿が僕にも見えてきて彼を好きになっていきました。三淵と藤孝は対照的な2人だと思います。藤孝の生き方は人間としては正しいと思います。ですが、三淵の生き方は幕臣として正しいものであったと思います。三淵藤英という役に出逢えて、演じることができて幸せでした」と振り返り、感謝した。

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2020年12月28日のニュース