ショーン・コネリーさん死去 「007」初代ジェームズ・ボンド、名俳優90歳で旅立つ

[ 2020年11月1日 05:30 ]

ジェームズ・ボンド役として銃を構えるショーン・コネリーさん(ベットマン提供・ゲッティ=共同)
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 映画「007」シリーズの初代ジェームズ・ボンド役などで知られる英俳優ショーン・コネリーさんが死去したことが31日、明らかになった。90歳。英BBC放送が報じた。英北部スコットランドのエディンバラ出身。「アンタッチャブル」や「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」など日本でヒットした作品に数多く出演し、日本のテレビCMにも起用された。

 家族によると、コネリーさんは大西洋の島国バハマに住んでおり、就寝中に安らかに息を引き取った。死亡日時や死因は明らかにしていない。8月25日に90歳の誕生日を迎えていたが、しばらく体調を崩していたという。

 英国海軍を健康上の理由で除隊した後、トラック運転手や美術モデルなど職を変えながら、ボディービルのジムに通って肉体を鍛えた。1953年に「ミスター・ユニバース・コンテスト」の重量挙げ部門で3位に入賞。その際、出場者の一人から演技の道に進むように勧められ、翌54年からテレビや劇団で活動するようになった。

 61年にボンド役として007シリーズ5本に出演する契約を映画会社と締結。62年の第1作「ドクター・ノオ」がヒットし、知名度も急上昇。007を世界的なヒットシリーズに成長させ、スターの階段を駆け上がった。

 67年の「007は二度死ぬ」は日本が舞台で、日本人初の「ボンドガール」に選ばれた浜美枝(76)や丹波哲郎さんとの共演が話題を呼んだ。東京滞在中にはファンや記者に追いかけ回されて閉口。ボンド役引退を表明するに至ったという逸話も残っている。

 コネリーさんが演じたボンドは、知的でたくましく、胸毛が醸し出すワイルドな色気が特徴。初代にして歴代最高との声も根強い。郷土愛が強いコネリーさんは、ボンドを演じる際も英語はスコットランドなまり。そのため、ボンドはスコットランド生まれという設定が後に加えられたという。最終的には計7作でボンド役を演じた。

 007以外では、ヒチコック監督の「マーニー」(64年)や「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」(89年)などで存在感を示した。87年公開「アンタッチャブル」では米アカデミー賞助演男優賞を受賞。サントリーのウイスキーなど日本のCMにも起用された。

 06年に米映画協会から生涯功労賞を贈られたのを機に俳優業引退を宣言。だが、12年に製作総指揮を務めたアニメ映画で声優を務めた。

 スコットランド独立運動の熱心な支持者で、腕には「スコットランドよ永遠に」と入れ墨を彫っていた。00年に英国のエリザベス女王からナイトの称号を与えられ、授与式にはスコットランドの民族衣装キルトで正装して出席した。

 ◆ショーン・コネリー 1930年8月25日生まれ、英スコットランド出身。76年公開の「ロビンとマリアン」ではオードリー・ヘプバーンと共演。最後の出演映画は03年の「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」だった。私生活では62年に豪女優ダイアン・シレントと結婚し、後に俳優となったジェイソン・コネリーをもうけたが、73年に離婚。75年にフランス人アーティストの女性と再婚した。

 ▼007シリーズ 英諜報機関(MI6)のエージェント、ジェームズ・ボンドが活躍するスパイ映画。「007」はボンドのコードネーム。最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」(25作目)は来年公開予定(日本公開未定)。ヒロインは歴代ボンドガールとして人気に。スイス出身のウルスラ・アンドレス(84)が初代。

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