渡辺いっけい 人を楽しませるために つらい思い出も“ネタ”にする軽妙な語り口
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【俺の顔】俳優の渡辺いっけい(57)の人生はなんとも起伏に富んでいる。節目節目で挫折ともいえる壁にぶち当たっているが、そのたびに活路を見いだし、運も味方につけて乗り越えてきた印象だ。「自分には華がない」と自嘲しながらも、人を楽しませる芝居を追求し続けバイプレーヤーとして確固たる地位を築いた。つらいはずの思い出もネタに“変換”して、思わず笑ってしまう軽妙な語り口も魅力的だった。
幼少の頃から漫画家を目指していた。だが、その夢は高校に入ってすぐに打ち砕かれる。
「中学までは絵が面白い渡辺くんということで無双だったんです。でも高校の最初の美術の授業で、ダリのような絵を描いている子がいて、そのうまさが尋常じゃない。放課後になると別の子がクラスメートの似顔絵を描きだして抜群にうまい。クラスに僕よりうまいヤツが2人もいる。もう太刀打ちできないなと思ったんです」
残ったのは「人を楽しませたいという気持ちだけ」だと苦笑いする。愛読していたサブカル誌「ビックリハウス」への投稿に没頭し、掲載数などで加算される年間ポイントで2位になって自信を取り戻す一方、2年生の文化祭でステージに立ったことで役者への意識が芽生えた。進んだのは大阪芸大舞台芸術学科。しかし、ここでも入学直後に苦渋を味わう。
「役者は体力が大事だからと授業の一環で登山に行ったんですけれど、僕は途中で気持ち悪くなって頂上まで行けなかったんです。先生が付き添ってくれて一緒に下りてきたら、忘れもしないですよ。“渡辺、スタッフという手もあるから”って。目の前が真っ暗になって、また倒れそうになりました」
実際、1年を通した課題の舞台「ロミオとジュリエット」での役割はプロローグの朗読のみ。ほかは裏方に回っていたが、夏休み明けにロレンス神父役の同級生が退学しており、チャンスが巡ってきた。膨大な量のセリフを3日で覚えるという難関をクリアし、年度末に晴れて“舞台デビュー”。これが客席にいた2学年上のいのうえひでのり氏(60)の目に留まり「劇団☆新感線」に参加することになるが、またもや試練が訪れる。
「なまじセンスには自信があるから、こうやったら面白いと勝手に思ってやっても全部ダメ。いのうえさんは口立て(作者がセリフを口頭で伝えること)で動きも全部見せて、それを役者さんがまねるという演出。ひどい時は後ろに立たれて、俺が頭を叩いたらセリフを言え、タイミングを覚えろと。メンタルをやられてもおかしくなかった」
それでも、公演で観客のビビッドな反応を体感したことで演劇の面白さと怖さを同時に知る。新感線がいったん解散するのを機に上京。唐十郎(80)らが立ち上げた「状況劇場」を経て、各劇団のプロデュース公演への客演を重ね頭角を現す。
「プロデュース公演荒らしと呼ばれるくらいいろいろな舞台に出て、とにかく目立てばいい、お客さんにあいつは誰だ?面白いなと言われたいという思いだけでやっていました。先輩や重鎮の方にはたしなめられましたが、僕には全然響かなかった。年をとるにつれて、その一言一言がボディーブローのように効いてきましたけれどね」
そんな時期に舞い込んだのが、1992年のNHK連続テレビ小説「ひらり」のオーディション。当時テレビには全く興味がなく、渋々受けたものの最終選考に残ってしまう。
「受かる気がないので、最終面接の時には“僕は朝の顔じゃない。爽やかではないヤツがヒロインの相手役なんてどうかと思うんです”と言ったんですよ。そうしたら“今回は朝の顔ではないかもしれないあなたをこういう役で出したいドラマなんです”って言われて。それまで、はすに構えていたのに、ちょっと身を乗り出しました」
石田ひかり(47)の相手役に抜てきされ、撮影期間に出演予定だった野田秀樹氏(64)演出の舞台を断ったこともあり不退転の決意で臨んだ。結果、平均36・9%の高視聴率を記録。だが、名前が知られるようになった実感は、その後に放送されたガム「クロレッツ」のCMの方が強かったそうだ。
「朝ドラは準備も含めて1年くらい渋谷(NHK)に通い続けていたのに、2時間ドラマのロケを中抜けして半日くらいで撮ったCMに同じくらいのインパクトがあって、1年くらい流れ続けたんです。テレビの不思議を感じました」
そして、今やあらゆるジャンルの作品になくてはならない演技派。最近はボディーブローの効果か、チームプレーで伝える作品作りが好みだという。今年は初主演映画「いつくしみふかき」の公開も控える。さらに円熟味を増していくであろう活躍が楽しみだ。
《初主演映画「いつくしみふかき」 小悪党役「難しかった」》「いつくしみふかき」(近日公開予定)は、渡辺が14年にレギュラー出演したテレビ朝日「TEAM~警視庁特別犯罪捜査本部」で助監督を務めていた大山晃一郎監督(34)の初長編作品。渡辺は人をだまし続けて生きる小悪党といった役どころで「行動原理が分からなくて難しかったけれど、大山くんを信頼して委ねました」と撮影を振り返る。結果「つながってみると、自分ではない自分が写っているのが新鮮でした。ただ座っているだけとか、動かなくても映像の中で十分役が生きていると感じられたので、魅力的に撮ってもらえてありがたかった」と満足げに笑った。
◆渡辺いっけい(わたなべ・いっけい)1962年(昭37)10月27日生まれ、愛知県出身の57歳。83年、大阪芸大在学中に「劇団☆新感線」に参加。85年の上京後、数多くの舞台に出演。92年のNHK「ひらり」で演じた医師・安藤竜太役で注目される。最近の主な出演作にNHK「大富豪同心」、テレビ朝日「刑事ゼロ」、舞台「カノン」、「北齋漫畫」などがある。
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