大林宣彦監督の妻・恭子さんがコメント発表「『皆さん、ありがとう』を監督の遺言としてお伝え致します」

[ 2020年4月14日 16:45 ]

大林宣彦監督

 肺がんのため10日に死去した映画監督の大林宣彦さん(享年82)の妻・大林恭子さんが14日、マスコミ各社に宛てたFAXでコメントを発表した。

 プロデューサーとして大林作品を支え続けた恭子さんは「この度、監督は、次回作のロケハンに出かけました」と独特の表現で切り出した。亡くなる前の日々について、「連日連夜、映画の夢の中、撮影現場にいるらしい監督は元気な声で『ヨーイ、スタート。カット。オーケー。皆、お疲れさん、ありがとう』。毎晩その楽しそうな声に私は目を覚まし、『お疲れさま、ありがとう』と答えていました」と明かした。

 数日前の出来事。「真夜中に講演らしきお話をしていました」と、大林監督の様子をつづった恭子さん。その中では、後輩映画監督の名を挙げていたそうで、「『岩井君、手塚君、犬童君、塚本君たちが映画をつないで平和な世の中に……』と、とぎれとぎれに聞こえてくる言葉、いつもと変わらない最後の言葉『ありがとう』。そして、監督が繰り返した『皆さん、ありがとう』を監督の遺言としてお伝え致します」と報告した。

 ともに歩んだ63年間の日々を「文学と音楽と映画の日々」と振り返り、「いつも監督の口癖は『眠るのは死んでから充分眠れるのだから眠るなんて勿体ない』と本当に眠りませんでした」と告白。「今頃、ロケハンの途中の天国村で、黒澤明監督や本多猪四郎監督、立川談志さん、高畑勲監督、和田誠さんにお会いして、映画談義が尽きることなく、やっぱり眠っていないのではと思います」と吐露した。

 「まだまだあふれる才能の持ち主、彼にあと三倍の映画の時間をあげたかった」とも。「大林作品を愛してくださったすべての人に監督の『ありがとう』をお伝えしたく存じます」と感謝し、「『ありがとう』の言葉に、毎晩、私からも監督に『ありがとう、愛してる』と真夜中の涙。すると『お休み……』と返事が…。今頃ロケハンで“未知なる道”を見つけてくれていることと思います』と記し、締めくくった。

 大林監督の家族葬は13日、都内の寺院で営まれ、妻の恭子さんが喪主を務めた。

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2020年4月14日のニュース