「半沢直樹」片岡愛之助 オネエ口調・黒崎役「不安だった」弟子参考に 反響感謝「世に知らしめてくれた」

[ 2020年3月24日 10:45 ]

2013年の前作に続き「半沢直樹」で金融庁検査局の黒崎を演じる片岡愛之助(上)は堀内敬子(下左)竹財輝之助(下右)と「TBSラジオ オリジナルドラマ『半沢直樹』敗れし者の物語 by AudioMovie」を収録(下)(C)TBS
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 TBS日曜劇場「半沢直樹」(日曜後9・00)が7年ぶりに復活し、4月にスタートするのを前に放送されている、主人公・半沢直樹に倍返しされた人々の“その後”を描くラジオドラマ「半沢直樹 敗れし者の物語」(TBSラジオ、火曜後4・10頃)の第4章に、歌舞伎俳優の片岡愛之助(48)が出演。24日に「金融庁検査局 黒崎駿一主任検査官編」前編、31日に後編がオンエアされる。前作、オネエ口調の黒崎役が大反響を呼んだ愛之助は続編ドラマへの出演も決定。愛之助に“当たり役”を振り返ってもらった。

 俳優の堺雅人(46)が主演を務める「半沢直樹」前作は2013年7月期に放送。東京中央銀行の銀行員・半沢(堺)が行内の数々の不正を暴く逆転劇を痛快に描き、視聴者の心をわしづかみにした。最終回の平均視聴率は平成ドラマ1位となる42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークし、社会現象に。決め台詞の「倍返し」は新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。

 今回のラジオドラマは、半沢の倍返しを食らった敗者にスポットを照らすオリジナルストーリー。テレビ東京「ゴッドタン」や昨年10月期のTBS日曜劇場「グランメゾン東京」のスピンオフ「グラグラメゾン東京~平古祥平の揺れる思い」などで知られる人気構成作家のオークラ氏(46)らが脚本を担当。第4章は劇団「MONO」の土田英生氏(52)が黒崎の声をフックに、見事なコメディーに仕上げた。

 TBSラジオ「ACTION」(月~金曜後3・30)内、毎週火曜午後4時10分頃から放送される全4章(全8話、各話約10分)。2月11日にスタートし、第1章(第1話、第2話)には東京中央銀行大阪西支店元支店長・浅野匡役の石丸幹二(54)と妻・利恵役の中島ひろ子(49)、第2章(第3話、第4話)には東京中央銀行元人事部次長・小木曽忠生役の緋田康人(56)、小木曽の出向先の部下・竹内遥役の笹本玲奈(34)、第3章(第5話、第6話)には西大阪スチール元社長・東田満役の宇梶剛士(57)、東田の元愛人・藤沢未樹役の壇蜜(39)が登場した。

 愛之助演じる黒崎は、旧大蔵省銀行局出身の切れ者エリート。前作ドラマ前半は大阪国税局統括官として、舞台が東京に移ると金融庁検査局主任検査官として常に半沢の前に立ちはだかったが、2度も苦杯。プライドが高く神経質、なぜかオネエ口調。激高すると部下の急所をつかむという個性的なキャラクターは、前作放送時に大きなインパクトを残した。

 堀内敬子(48)演じる黒崎の妻・美咲は前作ドラマに登場しておらず、今回のラジオドラマが初お目見え。竹財輝之助(39)演じる島田亮太は、東京で金融庁検査局主任検査官となった黒崎の部下。検査が進まないことにイライラする黒崎に急所をつかまれたが、今回は…。そして、黒崎と美咲はどのような夫婦なのか――。

 収録は今月上旬に行われ、“黒崎節”は健在どころか、パワーアップ。愛之助が叫ぶたびにスタジオは笑いに包まれた。

 続編ドラマに先駆け、一足早く“あの甲高い声”がよみがえるが、今回は黒崎の“低い声”も必聴。愛之助は「低い方が楽ですよ」と笑いながら「ただ、黒崎という人は1人で、その人が行ったり来たりするわけですから、あまり声そのものの高い低いというのは関係なく。黒崎という人物の範囲の中で演じました。音だけ変えると、黒崎から離れていってしまうので、『黒崎という人の声が低かったら、こんな感じになるのではないかなぁ』という捉え方で役作りをしてきました」と明かした。

 前作ドラマは、10年に出演したTBS開局60周年記念ドラマ「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」の演出・福澤克雄監督(56)から黒崎役のオファー。役作りは手探りだったが、そばにいる弟子の片岡愛一朗(47)がヒントになった。

 「女形なので、普段から物腰や言葉遣いが柔らかいんです。そこをデフォルメしていけばいいんじゃないか、と。歌舞伎の役もそうじゃないですか。登場した瞬間に、その人がお殿様なのか、武士なのか、町人なのか、しゃべらなくても分かるように、いかにデフォルメして“らしさ”を見せるか。黒崎のようなエリートが常日頃、ナヨナヨしていたら組織のトップには立てないので、『何かの瞬間にオネエ口調が出るんじゃないですかね』みたいな話をジャイさん(福澤監督の愛称)にしまして。そこからジャイさんと一緒に、この役を作っていきました」

 ただ、いざ撮影が進むと「堺さんをはじめ、皆さんが真剣に芝居をされている中、僕1人が『こんな人、いないでしょ?』というような非現実的な人間で、ふざけているみたいじゃないですか(笑)。非常に心配に、不安になりまして、ジャイさんにも相談したんですが、『いや、そこがいいんです』とおっしゃって。その言葉を信じて、やり続け、やり続け、時にはやり過ぎて(笑)カットがかかった時もありましたが、難しい役でも楽しかったですね」と思い返した。

 前作を「片岡愛之助という存在を世に知らしめてくれたドラマ」と“転機”の1つと位置付ける。

 「僕は舞台の人間ですから、歌舞伎のお客さまは知ってくださっていますが、世間的には片岡愛之助という人間を知らない人の方が圧倒的に多かったと思います。それが、この『半沢直樹』というドラマで、多くの皆さんに僕の存在を知っていただけたんじゃないですかね。あくまでお芝居なんですが、最初は会う方会う方、『愛之助さんは普段もオネエ口調なんですか?』が第一声で。いやもう、本当に凄い影響力なんだと思いました。今も街行く人に声を掛けていただくことがあります」と感謝した。

 そして“当たり役”に再び挑戦。「7年という歳月がたっているわけで、どんなふうになるのかと思っていましたが、台本を読んで安心しました。『こう来るか?』『この人はこっち?』とか、独り言を言いながら(笑)。おもしろいです」と早くも手応えを感じている。

 ラジオやradikoに加え、没入感あふれる音声コンテンツ「AudioMovie」でもストリーミング配信。TBSラジオは「オリジナルオーディオドラマ」と銘打っている。

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2020年3月24日のニュース