吉本興業、火に油注いだ芸能史上最悪の会見

[ 2019年7月23日 07:30 ]

吉本興業 岡本社長会見

吉本興業・岡本昭彦社長
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 【記者の目】記者会見を開く上で見失ってはいけないのが「何のために行うのか」という理由と目的だ。騒動勃発から1カ月半で実現した吉本興業の会見。それだけでも異例だが、その理由が所属する大物芸人に尻を叩かれたからというのも、既に具合が悪かった。

 冒頭から嫌な予感がした。芸人の不祥事に対する謝罪と、それを引き起こした2人への処分撤回。問題の大きさを強調しながら処分は撤回する矛盾。そこにも、義憤にかられた松本人志らの怒りを鎮めるためという理由が見え隠れした。

 繰り返し強調したのは、コンプライアンスの徹底と芸人ファースト。一番知りたかったパワハラ発言は「冗談」で、隠ぺい疑惑は「パニックになったため」との説明に終始。亮が何度も求めた会見を開かなかった疑問にも「確認の時間が必要だった」と、早急に会見すべき責任を上回る理由は出てこなかった。逆に、説明が二転三転した宮迫らへの苦慮が口に出てしまい、処分撤回との矛盾が最後まで残ってしまった。

 ウソをつき騒動を悪化させたのは吉本ではなく、芸人だ。だが世間の目は、もはや芸人の不祥事から吉本の企業体質へ移っている。自ら火に油を注いだという意味では芸能史上最悪の会見となってしまった。 (文化社会部長・阿部 公輔)

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2019年7月23日のニュース