時は昭和

[ 2019年6月14日 08:16 ]

右奥から3人目が、その人です
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 【我満晴朗 こう見えても新人類】元メジャーリーガーのビル・バックナー氏が亡くなったのは5月27日。人生100年時代にあって享年69歳は「早世」の感がある。

 1986年のワールドシリーズは彼抜きでは語れない。詳細は逝去の際に数多く報道されているので繰り返さないが、あの失策は良くも悪くも後世に語り継がれる歴史的な出来事だと思う。

 当時なぜか広島に出張していた筆者は、仕事中にもかかわらずおっかない諸先輩方の目を盗んで地元岩国のFEN(現AFN)中継をラジオで盗み聞きしていた。ボストン・レッドソックスの3勝2敗で迎えた第6戦、延長10回表に2点を勝ち越されたニューヨーク・メッツの裏の攻撃は2死走者なし。元巨人のデーブ・ジョンソン率いるメッツを個人的に応援していたものの、さすがに逆転はないだろうと諦めかけた次の数分間――奇跡は起きた。

 最後の場面。実ははっきり分からなかった。3連打と暴投で同点になったところまでは理解できたのに。なんだろう、サヨナラヒットではない。でもアナウンサーは興奮しながらメッツの勝利を告げている。詳細が明らかになったのは数分後、状況説明を聴いてからだ。なんと劇的な。時に日本時間10月26日。広島と西武が激突した日本シリーズ第7戦の試合開始前。記者席で「なんか向こうはすごい試合だったみたいスよ」と鼻の穴を膨らませながら先輩に報告したら「大事な試合前になにやってんだ」と一喝された落ちがある。

 数年後に購入したシリーズの特集レーザーディスク(古いなあ)を繰り返し再生した。ムーキー・ウイルソンが放った緩いゴロが股間を抜けていき、絶望的な表情で振り返るバックナーの目元がもの悲しい。肩を落としてベンチに引き揚げる姿からはただならぬ哀愁が漂っている。レッドソックスが世界一を逃した要因の一つに挙げられているシェイ・スタジアムの悲劇。故人を語るうえで外せないエピソードだ。

 そんなわけで筆者的に言うと「1986年」と「ワールドシリーズ第6戦」は強固にリンクしている。第8戦までもつれこんだ日本シリーズの方も印象深かったけど。あとはサッカーW杯メキシコ大会でのディエゴ・マラドーナ。あの5人抜きには口あんぐりだったなあ…。

 そうそう忘れていた。将棋で史上3人目の中学生棋士となった天才少年がプロデビュー戦を勝利で飾ったのもこの年だった。以降、彼の白星は驚異的なペースで積み上げられ、今年6月4日、歴代単独トップとなる1434勝目に達している。誰のことなのか、もうお分かりですね。(専門委員)

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