香取慎吾 主演映画舞台の塩釜市で被災者思いやる「傷を負っている人の心にも“凪”が訪れたら」

[ 2019年6月14日 05:30 ]

宮城県・塩釜市の塩釜水産物仲卸市場で行われた映画「凪待ち」の完成報告試写会に出席した香取慎吾(右)と白石和彌監督
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 俳優の香取慎吾(42)が13日、宮城県塩釜市の塩釜水産物仲卸市場で行われた、主演映画「凪(なぎ)待ち」(28日公開、監督白石和彌)の完成報告試写会にサプライズで登場した。塩釜市や石巻市など、2011年の東日本大震災の被災地を舞台にした作品。香取は「こうして足を運ぶと、いろんなことを感じます」と被災者を思いやった。

 撮影当時、被災した地元住民が差し入れにジュースを持ってきた。その住民は香取に「親族が犠牲になって…」と話しだし涙を流しながら笑顔を見せた。香取は「この映画で一生懸命頑張ろうと思った」と、背中を押されたことを明かした。「震災から時間がたち、ニュースで見る機会も減ってきました。でも人それぞれの心の中にはさまざまな形で震災のことが残っていると思います」と記憶の風化も心配した。

 この日会場となった市場も被害に遭った。市場関係者は「魚市場は1メートル20センチの津波で全壊して、6年半かけて新しい施設を造りました」と回想。同席した白石監督も「さまざまな傷を負っている人の心にも“凪”が訪れたら」と映画のタイトルに込めた思いを明かした。

 イベントでは、白石監督の呼びかけで香取が登場。集まった約70人から歓声が上がった。香取は一升瓶ケースを並べて作った“特設ステージ”の上から「少しでも多くの人に見ていただければ」と呼びかけた。

 ◆「凪待ち」 ギャンブルにのめり込む男・木野本郁男(香取)は人生を再出発させるために恋人・亜弓(西田尚美)の故郷・石巻に移住する。だがある日、恋人が何者かによって殺害されてしまう。同時に社員をトラブルに巻き込んだという濡れぎぬを着せられ、働いていた印刷会社からも解雇。郁男は恋人も仕事も失い、行き場のない怒りとともに自暴自棄となっていく。

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