難病の車いす女性プロ囲碁棋士、17歳加藤 男性中心の世界に風穴を

[ 2019年1月24日 09:30 ]

日本棋院関西総本部に所属する加藤千笑初段
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 小学4年生の仲邑菫(なかむら・すみれ)さんが4月に史上最年少の10歳でプロ入りすることが決まり、藤井聡太七段(16)の活躍に沸いた将棋界に続いて囲碁界にも注目が集まる兆しを見せている。その仲邑さんの前年にプロの門を叩いたある新人女流棋士、日本棋院関西総本部に所属する加藤千笑初段(17)を先ごろ取材した。

 岐阜市在住の加藤は骨形成不全症という骨の難病のため、車いすでの生活を送っている。全国大会の少年少女囲碁大会で6年時に女子では14年ぶりの小学生名人に輝くなど、能力は高かった。昨年はプロ1年目にして早くも女流タイトルの一つ、女流棋聖戦の挑戦権獲得にあと2勝まで迫る快進撃。世代を超えた実力を秘めていることを証明した。

 同じ東海地方在住で、研究会やネット対局で指導してきた師匠の羽根直樹九段(42)は、加藤の力を高く評価している。「順調にスタートを切れた。力をつけていたので、最初からある程度活躍できると思っていた。このまま続けていけば(女流棋戦だけでなく)一般棋戦でも十分上位を狙える」。大阪や東京で行われる対局に同行し、サポートする母の裕子さんは「研究も努力とは思っていないようです」と、楽しく囲碁に打ち込む娘を温かく見守っている。

 加藤は広域通信制のNHK学園高2年生。基本的に午前中は自宅で高校の勉強をこなし、午後から囲碁に没頭する日々を送っているという。学業について聞くと「英語の勉強を頑張りたい」とはにかみながら答えた。「この前、外国の方に囲碁を教える機会があったんです。もう少し話せたらいいなと思って」と目を輝かせている。

 プロ囲碁界は院生のリーグ戦を勝ち抜く正棋士とは別に、女性のみの採用条件がある。今年4月1日付の平成31年度採用からは、仲邑さんが第1号となった英才特別採用の新設と合わせて、従来1人だった女流推薦枠も拡大された。改革1年目は女性採用が6人となり、男性の5人を上回る見込みだ。

 将棋の女流棋士が「女流○段」と呼ばれるのに対し、囲碁では女流枠採用でも通常の棋士と同じ段位を名乗る。その代わり、日本棋院棋士採用規定によると、女流特別採用棋士は「日本棋院の普及事業への協力を責務とする」とされる。女流枠でプロ入りした加藤にも、普及面での貢献が期待されている。

 今月21日には藤沢里菜女流本因坊(20)が、女流棋士として初めて7大タイトル戦の本戦で勝利した。今後は、女流棋士の7大タイトル初挑戦への期待も高まっていくだろう。判官びいきかもしれないが、真剣に対局に臨む加藤の姿は、人の胸を打つものがあると感じている。そして実力でも、ずっと男性中心だった囲碁界に風穴を開けることを期待している。(矢吹 大祐)

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