阿部サダヲ、勘九郎と「いだてん」W主演に「ご縁を感じる」故・勘三郎さんとの秘話明かす

[ 2019年1月6日 08:00 ]

NHK大河ドラマ「いだてん」にダブル主演する俳優・阿部サダヲ(左)と歌舞伎俳優の中村勘九郎
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 NHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(日曜後8・00)が6日にスタートする。歌舞伎俳優の中村勘九郎(37)と俳優の阿部サダヲ(48)がダブル主演。勘九郎は「日本のマラソンの父」と称され、ストックホルム大会に日本人として五輪に初参加した金栗四三(かなくり・しそう)、阿部は64年の東京大会招致の立役者となった新聞記者・田畑政治(まさじ)を演じる。大役に挑む勘九郎と阿部に、今作の意気込みを聞いた。

 ――今回の宮藤官九郎さんの脚本の印象はいかがですか?

 阿部 宮藤さんらしいですね。金栗さんの時代、僕(田畑)の時代、それと落語をリンクさせているところが面白いです。最近はNHKでも岡田将生くん主演の落語ドラマ(ドラマ10「昭和元禄落語心中」)を放送していましたし、視聴者の方にも親しんでいただけるのではないでしょうか。落語ということで最終回の“サゲ”がどうなるのかを今から期待してしまいますけど、それは宮藤さんのプレッシャーになっちゃいますね。最終的に“サゲる”のは、(語り手の)たけしさんなんですかね。

 勘九郎 時空を飛び越えているので、普通は脚本がごちゃごちゃになりそうですが、やっぱり宮藤さんの脚本はすごいです。毎回台本を読むのが楽しみで、自分が出ている出てないに関係なく、これは本当に面白い作品だと思います。

 ――勘九郎さん演じる金栗さんの登場シーンが注目だと聞きました

 勘九郎 最初にそのプランを聞いた時には「大丈夫かな?」と思いましたね。「これを大河でやるのか」と。すごい感じで出てきます。楽しみにしていてください。

 ――撮影で大変だったことはありましたか?。

 勘九郎 マラソン選手を演じる上で、体力づくりやマラソンの走り方・基礎から習いました。撮影に入る前は「マラソンって言っても、撮影でそんなに走らないだろう」と思っていたんですけど、大きな間違いでしたね。熊本でミカン畑を走るシーンのロケがあったんですが、天敵はドローンでした。あんなものを開発されてしまったせいで、どこまでも撮れるんですよ。いつまでもカットがからないから、とにかく走らないといけなかったんです。でも、いろいろなところを走れるのは楽しいですね。

 阿部 アスリートみたいに食事も変えたんですか?すごく?せてましたよね?。

 勘九郎 はい、体形をつくるために食事も変えました。金栗さんは身体が弱かったから冷水浴をするんですけど、1話に最低2回は裸の冷水浴のシーンがあるので。

 阿部 相変わらず衣装が少ないんですね(笑い)。

 勘九郎 締まっていない肉体を見せられないので。毎回水浴びのシーンを撮ってくれるスタッフは「もうお前の裸は見たくないよ」って感じていると思います。

 阿部 僕は泳ぐシーンはそんなに多くないんですよね。選手を辞めて監督になっているので。オープニングの映像と途中で少し泳ぐシーンがあるので、そのために練習したぐらいです。

 ――大河ドラマの主役に決まり、プレッシャーはありましたか?

 勘九郎 歴史ある大河ドラマの主役と最初に聞いた時は、うれしさよりも不安がありました。でも脚本を読ませていただいたことで「大丈夫だ」と感じましたね。宮藤さんの脚本を読んでホッとしました。金栗さんは一途にとにかく走っている人で、周りのキャラクターも一人一人がチャーミングで、愛があって、素敵な人たちばかり。そこも含めて楽しんでいただけたらいいなと思いますね。

 阿部 僕は初めて大河ドラマに出演させていただいたのが、中村勘三郎さん(勘九郎の父、2012年死去)が主演の「元禄繚乱」(1999年放送)だったんです。その時に勘三郎さんが「今、君のとこの舞台面白いんでしょ。うちにチケット送ってよ」と言ってくださって、それがきっかけで僕たちの舞台(阿部、宮藤氏らが所属する「大人計画」)を見に来てくださるようになったんです。それから宮藤さんが歌舞伎の脚本を書いたりとつながっていきました。だから今回、大河ドラマで勘九郎さんと一緒に主役を務めることにご縁を感じています。主役のプレッシャーというよりは、不思議な感覚を持っていますね。

 ――2020年に東京でオリンピックが開催されます。その前年にオリンピックをテーマにした大河ドラマが放送されることの意味をどう捉えていますか?

 勘九郎 金栗さんが日本人で初めてオリンピックに参加した時は国からの支援も無く、本当に大変だったと思います。ただ、今の選手の方々は国からのサポートはありますけど、プレッシャーは相当なものですよね。練習からメディアに追いかけられていたりするので、アスリートの人たちは勝っても負けても本当にすごい。スポーツにあまり関心がない方たちもこの作品を見ると、スポーツに対する見方が変わると思います。僕自身もこの作品に出させていたおかげで、スポーツに対する見方が変わりました。

 阿部 首都高などの道をつくっていくというような、東京がどんどん出来上がっていくシーンがあるんですよね。そういったものを見てるだけでワクワクするんです。出来上がったものを知っていますし。来年の東京オリンピックで使う新しい国立競技場をつくっているのを、今もみんなが見ているじゃないですか。そういったワクワク感を共有できる気がしています。

 ――最後に今作に向けての意気込みを教えてください。

 阿部 勘九郎さんと二人で「笑い」というものを日曜日の8時に持ち込みたいですね。大河ドラマって笑って見る印象はなかったじゃないですか。「あっそうだったんだ」「こういう人たちがいたんだ」って感心しながら見るのが大河ドラマだと思うんです。でも宮藤さんが脚本を書いていますし、見ている方々には笑ってもらいたいですね。

 勘九郎 今回はものすごくいい意味で大河ドラマじゃないみたいです。今までの大河ドラマとなにもかもが違うんじゃないかと思いますね。

 阿部 “笑える大河”です。決して軽い意味じゃないですよ。ボケやツッコミから生まれる笑いではなくて、一生懸命やっているいる人から生まれる笑いって一番面白いんじゃないかと思います。

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