大河「いだてん」中村勘九郎＆阿部サダヲが語る魅力　宮藤氏チョイスの「方言」にも注目

大河ドラマ「いだてん」発表会見での（左から）阿部サダヲ、中村勘九郎、脚本の宮藤官九郎氏
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　ＮＨＫ大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺（ばなし）〜」（日曜後８・００）が６日にスタートする。歌舞伎俳優の中村勘九郎（３７）と俳優の阿部サダヲ（４８）がダブル主演。「日本のマラソンの父」と称され日本人として初めて五輪に参加した金栗四三（かなくり・しそう）を演じる勘九郎、６４年の東京大会招致の立役者となった新聞記者・田畑政治（まさじ）を演じる阿部に、それぞれのキャラクターの魅力を聞いた。

　――脚本を手掛けた宮藤官九郎さんは、お二人が演じている役が完璧な偉人でないところが面白いと言っていました。お二人は金栗さんと田畑さんのどういった部分に面白さを感じていますか？

　勘九郎　熊本弁で「とつけむにゃあ（とんでもない）」という言葉があるんですけど、金栗四三さんという方はまさに「とつけむにゃあな人」だと思います。台本を読んで「本当に一途なんだな」と思いました。マラソンのこと、走ることしか考えていない。それが一貫して描かれているので演じていて楽しいですね。あと、ほとんどユニホームと体操着しか着ていないので、衣装は大河史上最も地味だと思います。

　阿部　田畑さんはとても頭の回転が速い方で、言葉でガンガン攻めていくタイプです。だけど常識的ではない直談判のようなものが多い。どこにでも噛みついていくキャラクターが面白いですね。２人ともどこか憎めない人なので、お茶の間の方には「憎めないな」って思いながら見てほしいです。

　――勘九郎さんから見て、阿部さん演じる田畑さんはどう映っていますか？

　勘九郎　田畑さんはセリフの量がすごいんですよ。１回でほとんど走っているだけの僕の２４回分くらいはあると思います。

　阿部　台本に「呼吸を忘れてしゃべり続ける。息切れしてしまう」っていう箇所があったんですけど、どうやって言うんだろうって思いましたよ。

　――阿部さんは勘九郎さんが演じる金栗さんにどんな印象を持っていますか？

　阿部　金栗さんは方言をうまく使ったキャラクターだなと思っています。「あまちゃん」の「じぇじぇじぇ」じゃないけど、宮藤さんははやりそうなチョイスをしますよね。

　勘九郎　金栗さんは驚いた時に「ばっ」って言うんです。いろんな「ばっ」が出てくるので面白いですよね。

　阿部　金栗さんはかわいらしいエピソードがいっぱいありますよね。実際に動いてるのはまだ見ていないですけど、脚本を読んでいるだけでもすごくかわいい。

　勘九郎　本当にマラソン走ることしか考えてないんです。ピュアですね。これだけ情熱を注げることがあるっていいなと憧れています。

　――金栗さんと田畑さんのキャラクターは幾多の困難を乗り越え、夢をつなげていったという部分で共通しているかと思います。今作がニ人の姿を通して視聴者に伝えたいことは何だと思いますか？

　阿部　金栗さんはアスリートとしてオリンピックに参加する側で、田畑さんはオリンピックを招致する側だったんですが、金栗さんは体が弱くて海軍士官学校に落ちるという一度は諦めた部分があり、田畑さんも一度は戦争でオリンピックを招致できなかった。だから、みんなに「希望」を持たせたいというのがこの作品で一番伝えたい部分だと思います。

　勘九郎　何事も一途に情熱を注いで突き進んでいけば、何かを成し遂げることができるということです。金栗さんはメダルこそ獲得できませんでしたが、現代のマラソンの“もと”になった方です。何かに情熱を注いでいれば、必ず大きなものを得られるというところを見てほしいですね。

　――お二人とも金栗さん、田畑さんの地元にそれぞれ行かれたそうですね

　勘九郎　熊本で金栗さんの三人の娘さんたちにお会いして、ごあいさつさせていただきました。その時、僕は天然パーマなんですけど、金栗さんも天然パーマだったらしく「ああ、お父さんが帰ってきたようだ」と言ってくださったんです。すごく励みになりました。僕のふくらはぎを見て「お父さんの足に似てる」って言ってくれたことも、ものすごくうれしかったですね。

　阿部　田畑さんは浜松の方なんですけど、地元の方と仕事をした時に田畑さんについて聞いたら、あまり知られていないんですよね。「日本水泳の父」と言われている方なのに。「田畑政治展」も見に行ったんですけど、規模が小さくて。だから「頑張ろう！」って思いました。

　――いよいよドラマがスタートします。２０１９年の意気込みを聞かせてください。

　阿部　田畑さんは猪突猛進型なんですよ（１９年はイノシシ年）。前にしか進めない人で、たぶんバックはできないんじゃないかな。自分に似てるような気もするので、田畑さんと一緒にイノシシとして進んでいきたいと思っています。

　勘九郎　実はうちの母、弟、妻がイノシシ年なんです。僕も負けずに頑張りたいですね。