チコちゃんブーム 乱暴決めゼリフも「実験しやすい」NHKだからこそ

[ 2018年12月22日 09:30 ]

月刊コロコロコミック2月号(1月15日発売)でスタートする漫画版「チコちゃんに叱られる!」の1カット(C)住吉リョウ/小学館
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 【激動2018 芸能(10)】NHKのバラエティー番組「チコちゃんに叱られる!」(金曜後7・57)が社会現象化した。登場するキャラクター・チコちゃんの決めぜりふ「ボーっと生きてんじゃねーよ!」が新語・流行語大賞でトップテン入り。幅広い世代に人気だ。

 NHKと、フジテレビグループの制作会社「共同テレビジョン」が共同で手掛ける番組。NHKでは近年、外部の制作会社とともに番組作りをするのは一般的になっている。

 企画は共同テレビだった。「日常生活の中で意外に知らない事実を問題にするクイズ番組」を叩き台に議論を重ね「日常生活の中で、知っていても良さそうな事実を自分が知らないことに気づくことをポイントに」と目標を定めていき「叱り」の要素を取り入れることにした。そして、キーワードとして浮かんだ言葉が「ボーっと生きてんじゃねーよ!」。この言葉にたどり着いたことによって企画がまとまり、それを話すキャラクターのチコちゃんや番組名を後から決めた。

 企画を推進した共同テレビの小松純也プロデューサーは過去にフジテレビの「笑っていいとも!」や「トリビアの泉」などの人気番組の制作に携わったベテラン。「ああいう乱暴な言葉がNHKで流れるとインパクトがある。企画段階からずっと、この言葉ははやるだろうと周囲に言っていた」と狙いが当たったことを明かした。

 「チコちゃん」は昨年から特番として登場。局内では「あんな乱暴な言葉で大丈夫なのか?“ボーっと生きてちゃダメですよ!”ではダメなのか?」などと疑問視する声も上がったが、そのまま放送を続け、今年4月にレギュラー化した。NHKの水高満チーフプロデューサーは「特番の頃から“この番組には何かある。原石だ”という期待感があり、上層部も後押ししてくれた」と話した。

 硬派な番組も多いNHKにあって「チコちゃん」は役に立つ知識を肩肘張らずに得られるのも魅力だ。小松プロデューサーは「民放の番組より自由に作っている。民放はスポンサーに配慮して制作現場がブレーキをかけることもある。NHKの方が実験しやすい」と裏側を明かす。水高チーフプロデューサーも「この番組はNHKと共同テレビさんのディレクターが個性をぶつけ合いながら作っている。制作会議が楽しい」と語った。

 大みそかの紅白歌合戦にもチコちゃんは登場。快進撃はまだまだ終わりそうにない。

 ≪1月漫画連載開始≫子供向け漫画誌「月刊コロコロコミック」では来年1月、チコちゃんの漫画の連載がスタートする。ストーリーはオリジナル。作者の住吉リョウ氏は「漫画でしか見られないチコちゃんの姿を描きながら探す面白さがあるが、チコちゃんのイメージを崩しすぎないように表現していきたい」と意欲を語った。今月18日にはビジュアルブック「チコっと冒険 First」が発売されるなど出版界もチコちゃんブーム。来春には、絵本や番組ガイドブックなどの出版も予定されている。

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