藤井七段 高1タイトル消滅「力不足」

[ 2018年9月4日 05:30 ]

棋王戦本戦の挑戦者決定トーナメント2回戦で敗れた藤井聡太七段は終局後、笑顔なく感想戦を行う
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 将棋の最年少プロ棋士・藤井聡太七段(16)が3日、大阪市の関西将棋会館で指された棋王戦本戦トーナメント2回戦で、菅井竜也王位(26)に133手で敗れた。菅井には昨年に続く連敗で、タイトル保持者との対局は公式戦3戦目で初黒星。連勝も8で止まり、高校1年でタイトルを獲得する可能性が消滅した。

 終局直前、頭を抱えながら持っていた扇子を手元に置き、記録係の秒読みに追い詰められるように藤井は頭を下げた。約1年1カ月ぶりの再戦で、菅井が「自分の力を発揮できたと思う」と胸を張ったのに対し「総合的に見て力不足だった」とうなだれた。

 菅井は平成生まれの棋士として初めてタイトルホルダーとなった若き実力者。藤井は雪辱を期して立ち向かったが、返り討ちに遭い、これで2戦2敗。藤井が初対局から連敗を喫したのはこれが初めてで、内容的にも再び歯が立たなかった。

 思い出されるのが昨年8月の王将戦1次予選。菅井が得意とするゴキゲン中飛車から攻め込まれ、持ち時間を一方的に消費させられ追い詰められた。くしくも今回も同じような展開になったのは、作戦負けだけでなく“格”の違いを見せつけられたとも言える。

 これで8つあるタイトル戦のうち、名人戦を除き今年度に獲得できる可能性のあった7つ全てで敗退が決まった。「敗れてしまったことは残念ですが、そのことは気にしていない」とさばさば。ただ、タイトルを獲得するには力不足だと改めてこの一戦で痛感させられたよう。「そこを目指していくにはもっと力を付けていかなければいけないと思う」という言葉には信念が宿っていた。

 タイトルを初めて獲得した最年少記録は屋敷伸之九段(46)の持つ18歳6カ月。更新のチャンスは来年度以降もまだある。希代の天才高校生棋士がこのままで終わるはずがない。

 ○… 藤井を負かした菅井は、タイトル保持者の貫禄を見せつけ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。持ち時間はそれぞれ4時間。序盤から頭を使わせて藤井を残りわずか1分にまで追い詰める一方、自身は最終的に1時間50分も余らせるなど展開としては余裕いっぱい。終局後は所持する王位に続くタイトル奪取に向けても「もう少し頑張らないといけないと思っている。集中して頑張りたい」と意欲を見せていた。3回戦では佐藤康光九段(48)と対戦する。

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2018年9月4日のニュース