がんと闘った大下智騎手、復帰目指す日々に密着 23日カンテレ特番

[ 2018年6月23日 05:00 ]

京都競馬場でのラスト騎乗をするJRA・大下智騎手
Photo By 提供写真

 関西テレビの特番「もう1度、騎手になりたい。ガンと闘ったどん底ジョッキー」(23日深夜1・50、関西ローカル)で、20日に引退したJRAの大下智騎手(32=栗東・池添学厩舎)の奮闘記が放送される。ナレーションは俳優の濱田岳(29)。

 07年3月デビューの大下騎手。1年目は8勝を挙げたが、騎手生活11年で計17勝。年間0勝の年もあり、陽が当たることなく、ここ数年は調教の手伝いをして、なんとか生計を立てる日を送った。どん底を味わった。「騎手でありながら騎手でない」「このまま騎手の道を諦めるべきなのか」と自問自答していた昨年10月、「甲状腺がん ステージ4」と判明。視力、声を失う可能性を指摘されながら手術を受け、成功した。入院生活は2カ月に及び、首や目に違和感は残ったが、再び騎乗できる可能性が残された。そんな中、日に日に強くなっったのは「もう1度、騎手になりたい」という思いだった。

 家族や、競馬学校同期の浜中俊騎手(29)、藤岡康太騎手(29)、武豊騎手(49)、幸英明騎手(42)ら先輩ジョッキーらに支えられ、「馬に乗りたい。騎手でありたい」という思いと、周囲の声に対する自身の意地もあって過酷なトレーニング、減量に臨み、5月27日に京都競馬場でラスト騎乗。3歳未勝利戦でメイショウシンバ号に騎乗して、16頭だて15着に終わった。

 同局・柴田俊介ディレクターは「一度はすべてを諦めた大下騎手が、再びレースに出られる可能性があると知り、もう一度乗りたいと、思うに至るまでの心情の変化、騎手としての意地をみてほしい。華々しいイメージの裏面にある競馬界の厳しさ、普段テレビで見ることのできない現実が伝われば」と話している。大下騎手は現役を退いて、今後は調教助手に転身する。

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