【夢中論】近藤真彦 踊りも歌も後輩が上 だからこそ先輩が格好よく

[ 2017年12月5日 10:00 ]

 ジャニーズ事務所の最年長で「長男」と言われる近藤真彦(53)。マラソン、自転車、トライアスロン…50代に突入してなお挑戦を続ける男が今、夢中になっているのは「ブルース・リー」。その鍛え抜かれた肉体は憧れであり、怠けそうになる自分を戒めてくれる存在でもある。

 ◆「死亡遊戯」ポスターが問いかけてくる“それでいのか?”

 焼き肉とお酒を好きなだけ楽しんだ宴会の後。ほんわかといい気分で帰宅し、机の上にカバンを置いてひと息。「よく食ったな〜」。さあ寝るかと腰を上げると、視界に入るのが壁に貼っている映画「死亡遊戯」のポスター。上半身裸で鍛え抜かれた肉体を見せるブルース・リーが鋭い目で問い掛けてくる。「おまえ、それでいいのか」と。

 「暴飲暴食した後、ポスターを見ると“う〜ん、まずいな”と思う。それで次の日ジムに行くし、カルビも控えめになるのよ」

 部屋にはポスターのほか映画のDVD、Tシャツ、ヌンチャクなどのブルース・リー関連グッズが並ぶ。「ヌンチャクは友達に教えてもらって、頭にガンガンぶつけながら練習してる。子供は“家で振り回すのやめてよ”と怖がってるよ」

 少年時代からブルース・リーは憧れの存在だった。ただ、ここまでハマったのは2年前。2015年6月にスウェーデンで行われた「ITU世界ロングディスタンストライアスロン選手権」に日本代表として出場し完走した後だ。

 「1、2年かけて体をつくったんだけど、大会が終わって燃え尽き症候群になった。何か新しい目標をつくろうと考えていた時、友達から提案されたのがブルース・リー。写真を見たら、確かに隙のない肉体が凄い。よし、ブルース・リーを目指そうと決めた」

 ◆挑戦と達成を繰り返し保ってきた若さ

 ブルース・リーはカンフー映画を世界に広めたアクションスターであり、独自の武道「ジークンドー」を創始した武術家。格闘技に深い精神性を求めた哲学家の側面もあった。

 「俺とは真逆のタイプ。だからいいんだよ。本気でブルース・リーになろうとは思ってないよ。でも、憧れや目標を持つことが大切だから」

 40代に入ってから数年ごとに目標を設定し、結果を出す努力を重ねてきた。最初の目標を定めるきっかけになったのもポスター。44歳の時、居酒屋の壁に貼っていたマラソン大会のポスターを見て、フルマラソン挑戦を思い立った。

 「ポスターに写っていた選手の足が馬みたいな筋肉だった。これは格好いいなと」

 約半年間のトレーニングの末、4時間20分51秒で完走。2カ月後にはトライアスロンのオリンピック・ディスタンス(51・5キロ)も走り切った。次に目指したのがロングディスタンス(200キロ前後)。これを47歳で初完走すると、世界選手権への出場を目標に設定。国内大会への出場を続け、50歳で夢をかなえた。

 「30代までは自己コントロールできたけど、40代に入ってそんな元気がなくなって目標が必要になった。この10年間、いろいろとハードルを変えてやってきたから、体形を保つことができたんじゃないかな」

 ◆踊りも歌も後輩が上 だからこそ先輩が格好よく

 人気アイドル集団の頂点に立つ53歳。「普通のおじさん」には絶対になれない。「格好いい後輩が大勢いる中、長男がそうでもなくなったと言われるのはつらい。後輩には踊りも歌も演技もトークもはるかに超えられてる。それでも長男であり続けるためには、しっかりとした外見と中身を見せなくちゃいけない」

 3日に2年ぶりとなるシングル「軌跡」をリリースした。ジャニー喜多川社長に初めてタイトルを付けてもらい、アイドルとレーサーという二足のわらじの活動をしてきた「軌跡」を振り返る内容の作品だ。

 この楽曲にも、ポスターにまつわるエピソードがある。少年時代、部屋にポスターを貼るほどファンだった英バンド「ベイ・シティ・ローラーズ」を思わせるメロディーが気に入って曲を選んだ。

 「ブルース・リーの前に唯一、部屋に貼ったポスターがベイ・シティ・ローラーズ。今の人は(好きなアーティストを飾るのは)携帯電話の待ち受けなんだろうけど、俺らの世代はやっぱりポスター。あの大きさは刺激があるんだよね」

 掲げた目標に向け、これからも努力を重ねていく。

 《主演わずか5本》ブルース・リーは1940年、米サンフランシスコ生まれ。主演映画は「ドラゴン危機一発」(71年)、「ドラゴン怒りの鉄拳」「ドラゴンへの道」(ともに72年)、「燃えよドラゴン」(73年)の4本と、残されたフィルムをもとに作られた「死亡遊戯」(78年)だけ。73年7月に脳浮腫のため32歳で死去した。「燃えよドラゴン」に登場する「Don’t think. Feel!(考えるな、感じろ)」は思想を反映したせりふとして知られる。

 ◆近藤 真彦(こんどう・まさひこ)1964年(昭39)7月19日、神奈川県生まれの53歳。79年、TBSドラマ「3年B組金八先生」に出演。田原俊彦、野村義男と「たのきんトリオ」として人気を集める。80年「スニーカーぶる〜す」で歌手デビューし、87年「愚か者」で日本レコード大賞受賞。また、ドライバー、監督としてカーレース「スーパーGT」などにも参戦。

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