井山裕太 囲碁&将棋通じ初の2度目7冠制覇「昨年より進歩」

[ 2017年10月18日 05:30 ]

7冠を達成し笑顔の井山裕太碁聖(共同)
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 囲碁の井山裕太6冠(28)が17日、昨年失った名人位を奪還し、7大タイトル全てを保持する7冠に復帰した。

 静岡県熱海市での第42期名人戦7番勝負の第5局で、挑戦者として高尾紳路名人(40)を破り、対戦成績4勝1敗で通算6期目の名人位を獲得した。全7冠制覇を2度達成したのは囲碁、将棋を通じ史上初の快挙。「昨年より進歩したところを出せた。(7冠復帰に)実感はない。今後もこれまで通り目の前の一手を積み重ねるだけ」と冷静な口調で語った。

 昨年4月に十段を奪取し、囲碁界初の7大タイトル独占を果たした。同11月に名人位を失い6冠に後退も、その後は全6タイトルを防衛し、名人戦の挑戦権を獲得して前人未到の偉業に挑戦。囲碁界をけん引する第一人者が、また大きな金字塔を打ち立てた。

 次の照準は世界の頂点だ。今年は国際戦に多く出場。3月のワールド碁チャンピオンシップで中国、韓国のトップ棋士と人工知能(AI)と対戦したが、3連敗を喫した。「優勢でも踏み込む」というのは持ち味でもあるが、時には「踏み込まない勇気」も必要。世界のトップクラスに勝つには、より高い精度の判断力が求められると痛感した。

 国際戦で活躍している中韓の棋士は多くが年下だが「成長していける余地はいくらでもある」と話す。11月には96年開始の国際戦・LG杯の日本で行われる準々決勝と準決勝に臨む。日本出身者として初優勝へ「世界に自分クラスはたくさんいる。容易ではないが、挑戦していく」と意気込んだ。

 ▼石井邦生九段(井山の師匠)7冠復帰おめでとう。昨年の7冠達成の時よりも一段と困難な道ではなかったかと思います。(打ちたい手を打つという井山のスタイルで)さらなる斬新な棋譜に挑戦してください。

 ▼羽生善治棋聖(将棋で1996年に全7冠独占を達成)2度目の7冠達成、誠におめでとうございます。「心、技、体」の全てがそろわなければ、偉大な快挙は成し得ないと思いました。まだまだ、井山さんのベストパフォーマンスは伸びると思いますので、今後も独創的な囲碁を打ち続けていくことをファンの皆さんとともに楽しみにしています。

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