党利党略が透ける会期延長論〜悲痛な叫びは届いているか

[ 2017年5月27日 09:40 ]

26日、国会周辺で共謀罪法案などに反対の声を上げる人たち
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 【小池聡の今日も手探り】今国会最大の焦点である、共謀罪の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が5月23日に衆院を通過。参院での審議入りは与党が提案した24日を民進党が拒否、安倍晋三首相が先進7カ国首脳会議(サミット)から帰国した後の29日にずれ込んだ。

 国会会期末(6月18日)までの成立は厳しさを増しており、今後はその幅も含めた会期延長問題が中心テーマの1つになってくる。東京都議選の日程(6月23日告示、7月2日投開票)に加え、加計問題も絡んできて、党利党略があらためて透けて見えてきそうだ。

 自民党が当初描いていたスケジュールは会期内に成立させ、速やかに閉じるというもの。2つの学校法人を巡る問題で、野党に追及の機会を与えたくないとの判断があったであろうとみられている。

 「森友学園」(大阪市)の国有地格安購入問題と、「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設問題。森友学園が開設を目指した小学校の名誉校長には首相夫人の昭恵氏が一時就任。加計学園の理事長は首相の友人が務めている。

 とりわけ加計問題はここにきてヒートアップ。野党は首相が出席する予算委員会での集中審議を衆院に続き参院でも要求。新設計画に絡み「総理の意向」と伝えられたとされる記録文書について実在したものだと証言した文部科学省の前川喜平前事務次官の国会招致も迫るなど、ますます攻勢を強めている。自民国対が会期について安倍官邸の意向を「忖度(そんたく)」―まさかとは思うが…。

 一方、都議選に力を入れる公明党がかねて懸念しているのは、告示直前の「採決強行」。衆院法務委員会同様、参院でも混乱が繰り返されることだ。このため、参院での採決を都議選後に先送りするための会期延長論が取りざたされてきた。

 自民、公明両党は連立を組むが、公明党は自民党都連、都議会自民党を敵視する小池百合子都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」と選挙協力。安倍首相は自民党公認候補の応援に入る方針で、こうした対立の構図は延長論議にも影響を与えそうだ。自民党が公明党の事情を「忖度」するかどうか…。

 法務委員会を舞台にした重要法案はまだある。性犯罪を厳罰化する刑法改正案だ。組織犯罪処罰法改正案の閣議決定は3月21日。刑法改正案のそれは2週間早い同7日。公明党は当初、成立を強く求めてきた刑法改正案を先に審議するように主張していた。

 性犯罪の被害救済に取り組む市民団体の関係者は4月下旬、自民党の司法制度調査会に出席し、被害の実態に触れて刑法改正案の今国会での成立を強く要望。議員からは成立に向けた決意が表明されたという。

 刑法改正案の審議入りはこれから。会期延長がなければ、成立先送りが現実味を帯びてくる。延長するにしても、その幅の議論に翻弄(ほんろう)されそうだ。自民党の竹下亘国対委員長は5月24日、組織犯罪処罰法改正案とともに、刑法改正案など重要法案の会期内成立に向け「最大限の努力をする」と言及。一方、与党内からは刑法改正案の今国会成立に固執しない旨の発言も聞こえ始めている。

 党利党略を抜きにした会期延長論議などないのかもしれないが、現実の政治を前に悲痛な訴えは国会に届いているのだろうか。 (編集委員)

 ◆小池 聡(こいけ・さとる)1965年、東京都生まれ。89年、スポニチ入社。文化社会部所属。趣味は釣り。10数年前にデスク業務に就いた際、日帰り釣行が厳しくなった渓流でのフライフィッシングから海のルアー釣りに転向。基本は岸からターゲットを狙う「陸(おか)っぱり」。

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