日本の漫画や戦隊モノがハリウッドで大人気。その裏には?

[ 2017年5月27日 09:10 ]

3月に東京都内で行われた「ゴースト・イン・ザ・シェル」ワールドプレミア
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】つい先頃、車田正美氏(63)の漫画「聖闘士星矢」が米国で実写映画化されることが発表された。

 “聖闘士(セイント)”と呼ばれる戦士たちが女神アテナを守るために戦う作品。1985年から90年にかけて「週刊少年ジャンプ」に連載された原作は、コミックの累計発行部数が3500万部を突破。東映アニメーションが手掛けたアニメシリーズは世界80以上の国と地域で放送されている。これから具体的に動き出すが、日本でも大きな話題を呼びそうだ。

 今年4月7日には「ゴースト・イン・ザ・シェル」が日本で公開され、興行収入12億円を突破するヒットを記録。言うまでもなく、士郎正宗氏(55)の「攻殻機動隊」の実写映画版だ。スカーレット・ヨハンソン(32)が主演し、マイケル・ピット(36)やジュリエット・ビノシュ(53)ら豪華な面々が脇を固め、ビートたけし(70)も出演した。

 そして7月15日には「パワーレンジャー」が封切られる。日本のスーパー戦隊の英語ローカライズ版として1993年から全米で放送がスタートしたテレビシリーズを、南アフリカ出身のディーン・イズラライト監督が総製作費120億円を投じて映画化。レッド、ピンク、ブルー、イエロー、ブラックの5戦士が地球征服を企む悪の戦士を相手に戦う姿を描いた。

 米国では3月24日に初日を迎え、オープニング週に興収4030万ドルを記録。1週間前に公開された「美女と野獣」に次ぐ2位を獲得し、その後も堅実に観客を動員して現在までに興収8500万ドルを突破している。

 その勢いを日本にも持ち込めるか注目だが、クライマックスの戦闘シーンに行くまでのドラマ部分がことのほか手厚く描かれている点が少々気にならなくもない。大人は平気でも、子供たちがくたびれてしまわないか…。上映時間2時間強。本場の日本ではテレビの30分枠に慣れてしまっているファンがほとんどだろう。日本だけでも短縮版を上映した方がいいかもしれないが、時間的にもう無理だろう。

 映像は迫力十分。日本語吹き替え版の声優も豪華だ。レッドレンジャーに勝地涼(30)、ピンクレンジャーに広瀬アリス(22)、新米レンジャーをサポートするおしゃべりロボット「アルファ5」に南海キャンディーズの山里亮太(40)、さらには先代レッド「ゾードン」に古田新太(51)の参戦が“新たに”決まった。吹き替え版も楽しさいっぱいだ。

 ハリウッドではディズニーアニメの実写版も花盛り。日本でも大ヒット中の「美女と野獣」に続き、「ピノキオ」「ティンカー・ベル」「人魚姫」「ムーラン」「眠れる森の美女」、さらには「101匹わんちゃん」に出てくる悪女クルエラを主人公にした作品などが2018年以降に出てくる予定だ。

 かつてはアニメでなければ表現できなかったものが映像技術の格段の進歩で実写で可能になったことが大きいが、一方には「ハリウッドのアイデア枯渇」という側面があるのかもしれない。日本の漫画やアニメも含めて、今後こうした流れが一層激しくなりそうだ。 (編集委員)

 ◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。

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2017年5月27日のニュース