夏木マリ テロに屈さずルーブル公演「恐れないこと示さなければ」

[ 2017年4月27日 05:32 ]

パリ・ルーブル美術館で公演を行った夏木マリ
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 夏木マリ(64)が演出を手掛け、出演もする舞台「印象派NEO vol.3 不思議の国の白雪姫」のパリ公演が25日(日本時間26日)、ルーブル美術館で行われた。同地では銃撃テロがあったばかりだが、夏木の意志で予定通り実施。カーテンコールでは満員の420人から惜しみない拍手が送られた。

 ルーブル美術館のシンボルとして知られるガラスのピラミッド下にあるオーディトリアム・ホール。フランス文化の殿堂と言われる同所で日本人の舞台が上演されるのは異例。ほとんどセリフがなく、音楽とダンスを融合させた「身体言語」で物語を展開していく芸術性の高さが認められた。

 夏木はセリフの全てをフランス語で話し、妖艶な世界観で観客を魅了。カーテンコールで「ブラボー!」の歓声と拍手を浴びると感無量の面持ちを浮かべ、終演後も「海外は“ブラボー”があるのがいいですね」と充実感を漂わせた。

 パリでの公演は00年以来、17年ぶり4度目。逆境を乗り越えての実現になった。5日前の20日に、美術館から約2キロ離れたシャンゼリゼ通りで3人が死傷する銃撃テロが発生。夏木の頭をよぎったのは01年の苦い記憶。米同時多発テロの発生で予定していたパリ公演などが中止になった。

 今回も開催を危ぶむ声があったが、夏木は「テロは今、どこの国でも起こり得る。地球上、どこにいても危ない。テロを恐れないことを示さなければいけない」と決断。勇気と平和への思いを胸に演じきった。

 ライフワークとして取り組む「印象派」は93年にスタート。言葉の壁や既成概念を超えた内容が海外でも高く評価される。今回は童話「不思議の国のアリス」「白雪姫」をモチーフにした3年ぶりの新作で東京、京都で公演を行ってきた。

 来年は印象派の25周年。夏木は「友人からは“ロンドンでも絶対にうける”と言われた。ぜひやってみたい」と胸を膨らませた。

 ≪大統領選で稽古場“消滅”≫23日に行われた大統領選挙の余波も受けた。稽古場として借りようとしていた学校が投票所になり、使用できない事態が発生。夏木は「連休明けと聞いてこの日程にしたんですけど、大統領選とは全然知らなかった」と苦笑い。結局、稽古場を使用できないまま、本番を迎えた。

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