「ひよっこ」登場人物の内面伝える「生歌」 懐かしの昭和歌謡

[ 2017年4月27日 09:30 ]

農作業をしながら「いつでも夢を」を歌うヒロインの母親役の木村佳乃(左)、羽田美智子
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 【ひよっこ6大ポイント(3)】有村架純(24)が「高校三年生」(舟木一夫)を歌い、木村佳乃(41)らが「いつでも夢を」(橋幸夫、吉永小百合)を歌う。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」の見どころのひとつが出演者たちの歌唱シーンだ。

 制作統括の菓子浩チーフ・プロデューサーは「いつもの朝ドラより、登場人物が歌う場面が多い」と話す。その目的は歌によって「時代」と「心情」を表現すること。菓子氏は「当時生まれていた視聴者には、曲を聴くことで当時の自分に戻ってもらえるようにしたかった。登場人物が歌う曲は、ストーリーの中での心情と重なり合うものを選んでいる」と説明する。

 有村は歌うことについて「得意じゃない。たまにお風呂で歌ったりするくらいで、カラオケには行かない」と語るが、関係者の間では「実は上手」と評判。しかし、歌の巧みさよりヒロインみね子の心情を表現することを優先し、例えばヒロインが浮かれた気分になっている場面などではあえて調子を外して歌っている。視聴者は歌唱シーンによってヒロインらの素朴で純な内面をうかがい知ることができる。

 物語で描かれるのは東京五輪が開催された1964年からの約10年間。若い有村らは当然、当時の曲を知らないが、撮影前に、その曲が録音された音声データなどを聴いて覚えている。

 今後、ヒロインは故郷の茨城県から上京。就職先の課外活動として行う合唱で「トロイカ」(ロシア民謡)や「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)などを歌い、見どころはさらに増える。

 毎回オープニングで桑田佳祐(61)が歌う主題歌「若い広場」も人気。NHKが「昭和を歌える人」(菓子氏)として桑田に依頼したもので、古き良き昭和の香りが漂う名曲だが、桑田もラジオ番組で「(ドラマを)毎日見ている」と明かしている。番組で桑田は有村を「いい!」と称賛。リスナーに「毎日“ひよっこ”を見てください」と呼び掛けている。

 ヒロインが実在すれば現在70歳になっている昔の物語。昔を知る人は懐かしさに浸れ、知らない人は古き良き時代の香りをかぐことができる。

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