タラちゃんに妹がいた!「サザエさん」70周年 国民的漫画の真実

[ 2016年4月22日 06:30 ]

サザエさん第1巻表紙(C)長谷川町子美術館

 国民的漫画「サザエさん」が22日、連載開始から丸70年を迎えた。原作者の長谷川町子さん(享年72)は終戦翌年の1946年(昭21)4月22日、疎開先の福岡の地元紙「夕刊フクニチ」に依頼を受け、4コマ漫画を執筆。家の前に広がる「百道(ももち)海岸」を妹の洋子さんと散歩中に登場人物を考案。掲載紙を替えながら74年2月まで連載は続いた。

 今もアニメが続く息の長い作品だけに、奇々怪々な噂も。インターネット上では「サザエ連れ子説」が流布しており、今年3月にTOKYO MX「5時に夢中!」は「サザエは波平の前妻の子供で、フネは後妻」という視聴者からのメッセージを放送。しかし、後日、誤報だったとして謝罪した。

 著作権を管理する一般財団法人「長谷川町子美術館」(東京都世田谷区)の広報担当者は本紙の取材に「原作からそのような噂を読み取れる場面はない」ときっぱり否定した。一方、原作には登場しない隠れキャラの「ヒトデ」ちゃんについては「タラちゃんの妹という認識で問題ありません」と公認。1954年に発売された漫画誌「漫画読本」創刊号の「どうなる?」というコーナーで、長谷川さんが描いた10年後のサザエさん一家にさりげなく登場していた。同誌には30年後のサザエさんも載っていて、カツオが波平に似て薄毛になっている。

 「古きよきサザエさんの世界」などの著者で漫画・風刺画研究家の清水勲さんは、原作について「終戦後の庶民がどのように考え生活していたかを知ることができ歴史的資料としても価値が高い。誰も不快にせず共感できる作品で、戦後4コマ漫画の最高傑作だ」と称賛した。

 ▽サザエさん 主人公サザエを中心に一家の日常と戦後の社会をユーモアたっぷりに描かれている。サザエの旧姓は「磯野」で、結婚して「フグ田」に。サザエを中心にした家族構成は父波平、母フネ、弟カツオ、妹ワカメ、夫マスオ、長男タラオ。ネコのタマを飼っている。朝日新聞出版によると、94年に第1巻が発売された「文庫・サザエさん」のシリーズ累計発行部数は1600万部以上。

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