「変わり雛」でも“あの男”に栄冠 頭職人が1カ月かかりきりで…

[ 2015年12月18日 09:40 ]

2015東玉変わり雛1位「感動をありがとう 桜の戦士雛」

 さいたま市の人形メーカー「東玉」による今年の世相を反映した「2015変わり雛(びな)」発表会を都内で取材したが、ここでもやっぱり“あの男”が栄冠に輝いた。

 同社では1980年から毎年、その年に起こった最も印象に残った出来事(ニュース、社会現象、ブームなど)を全国から公募。1位から5位までをモチーフにした作品をつくっている。

 今年は10月5日から11月9日までの応募期間に3356通が届き、ラグビーW杯イングランド大会で活躍した日本代表が860通を集めて1位を獲得した。作品は「感動をありがとう 桜の戦士雛」と名付けられ、リーチ・マイケル主将(27)とともに並んだ五郎丸歩(29)がすっかりおなじみとなったキック前の“五郎丸ポーズ”を取っている。

 これでもかと五郎丸関連のニュースが続くが、学生時代、国立競技場や秩父宮競技場に足を運び、ラグビー観戦していただけにうれしい限り。まじまじと五郎丸雛に見入ったが、その細かなつくりに驚かされた。

 五郎丸ポーズの指の組み方はもちろんだが、黒いテーピングの位置まで同じ。聞けば、首の角度までこだわって職人さんがつくったという。担当者によると、繁忙期の中、頭(かしら)職人が1カ月間、かかりっきりだったといい、「商売を考えるとちょっと…」と苦笑いしていた。

 ちなみに2位は「祝ノーベル賞 日本の科学雛」で、ニュートリノを見つめる梶田隆章東大宇宙線研究所長と、細菌を見つけようとゴルフ場で土を採取する大村智北里大特別栄誉教授を並べた。研究へのきっかけなど細かな部分もしっかりと表現されていた。

 そのほか、3位以下では、芥川賞を受賞したお笑い芸人の又吉直樹(35)、新たに開業した北陸新幹線、再び世界一に輝いた女子フィギュアスケートの浅田真央(25)と男子体操の内村航平(26)の変わり雛が制作された。内村の手にひらには、練習でできたマメを見つけることができた。

 毎年、明るいニュースがあれば、暗いニュースもある。そんな中で今回、公募によって制作されたのは、スポーツでの快挙やノーベル賞受賞など明るい話題ばかりとなった。「変わり雛」は来年3月3日まで、埼玉・東武岩槻駅前の同社本店3階で展示されている。2015年を振り返りがてら、職人の細やかな技を見に行くのもいいかもしれない。(記者コラム)

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