湯川れい子 機内で書いた「六本木心中」 純なアン・ルイスに合わせ

[ 2015年11月22日 12:10 ]

湯川れい子さん

 「六本木心中」「恋におちて」などのヒット曲で知られる湯川れい子(79)が今年、作詞家生活50周年を迎えた。エルビス・プレスリーら世界のビッグアーティストとも親交を持ち、音楽評論家としても活躍中。この人の生きざまがまさに日本のポップスの歴史。思い出すまま、そのいくつかのエピソードを聞いた。(川田 一美津)

 アン・ルイスが歌った「六本木心中」は、ニューヨークへ向かう飛行機の中で書いた。NOBODYが作曲したメロディーが録音されたテープを、深夜、薄明かりのもとで聴いていた。歌詞には何の注文もなかった。だから、ひたすら歌い手に思いをはせた。それで浮かんだのが、♪桜吹雪にハラハラすがり あなたなしでは 生きてゆけぬ

 「彼女はどちらかというと派手に見えますが、本当は尽くし型の純な女性。どんな威勢のいいことを言っても本音を言えば好きな人と結婚したい、それがダメなら一緒に死んでほしい、そういうイメージ」

 JFK空港に着陸する前には、すでに出来上がっていた。アン・ルイスの代表曲は、今でも多くのファンから愛されている。

 流行の音楽は時とともに変わっても、時代に色あせることなく歌い継がれる歌もあろう。殺伐とした世の中、子育てが難しい昨今。だからこそ、無償の愛を伝える子守歌を手がけた。それが、「うまれてきてくれてありがとう」。作曲はつんく♂、歌はクミコが担当。胎内で母親の心音を聞いていた子供にとっては、音楽が大切なコミュニケーションツール。

 「お母さん、そして、お父さんにも一緒に歌ってほしい。“うまれてきてくれてありがとう”だけでもいいんです。赤ちゃんに優しく声を掛けてあげてください」

 作詞家生活の節目の年にまた新たな使命と出合ったようだ。(敬称略)

 ◆湯川 れい子(ゆかわ・れいこ)1936年(昭11)1月22日、東京都出身。作詞家、音楽評論家、翻訳家。59年、「スイングジャーナル」への投稿記事がきっかけで評論家に。作詞を手掛けたヒット曲は「センチメンタル・ジャーニー」「ランナウェイ」など多数。女優として活動したこともある。

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