芸能イベント“デビュー戦”で見せた山本昌氏「プロ」のあり方

[ 2015年10月22日 08:45 ]

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する「デロリアン」の助手席に座り満面の笑みを浮かべる山本昌氏

 今季まで32年間プロ野球中日の投手として活躍した山本昌氏(50)が21日、東京・台場の屋外会場で大ヒット映画シリーズ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」誕生30周年を記念したイベントに登場した。人生初の芸能イベントを終えたあと、球界ではごく当たり前の行為が非常に新鮮に映った。

 ファンサービスのことだ。報道陣への取材対応を終えて会場から引き揚げようとした時の出来事だ。

 「マサさ~ん!マサさ~ん!サインください」と叫ぶ若い男性の声が聞こえた。床には「Dragons」と書かれたスポーツバッグが置いてあった。どうやら中日ファンのようだった。

 周りを見渡すと、集まった「バック・トゥ…」ファン約750人の大半は、目の前にある車型タイムマシン「デロリアン」をかたどった車の記念撮影に夢中。「Dragons」バッグの男性だけが、帰り際の山本氏に注目し、カメラで写真を撮っていた。

 映画の主人公マーティの格好をした山本氏は、そんな熱心な声援を聞き男性に近寄り、柵越しにサインに応じた。その光景は、球場でファンのサイン要求に気軽に応じてきた姿そのものだった。

 通常の芸能イベントで、ファンの求めに応じて出演者がサインすることはない。イベントや事務所の関係者が目を光らせているからだ。防犯上の理由や写真の無断撮影を防ぐことなど、事情は分かる。だが、ファンが声を掛けたくても声を掛けられない現場が増えているのも事実。近頃“人気商売”とは何なのかを考えていただけに、山本氏に「プロ」のあり方を見た。

 ただ、芸能イベントに関しては山本氏は素人。百戦錬磨のマウンドさばきとうってかわって、キョロキョロと辺りを見渡し、落ち着かない様子が新鮮だった。その一方、バイオ燃料で動く“現代のデロリアン”とガソリン車の乗り心地の違いについて、「ちょっとアイドリングが高いかな」とカーマニアの顔ものぞかせた。ささいな変化を見逃さないあたり、ストイックな勝負の世界で培った勘を働かせたように感じた。

 “デビュー戦”を振り返り「今回はたまたま好きな車が絡んでたから呼ばれた。帰ってから反省します」と真面目に述べた。多趣味なレジェンドだけに“再登板”に期待が膨らんだ。(記者コラム)

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2015年10月22日のニュース