大沢たかお 独特の演技論「仕事じゃない時は俳優じゃない」

[ 2015年9月22日 11:10 ]

ストレートにカッコ良い! という雰囲気を漂わせる大沢たかお

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」がいよいよ完結する明治編に突入した。今年1月の放送開始以来、物語の推移とともに多くの主要キャストが画面から消えていく中、最後まで登場するのが俳優・大沢たかお(47)だ。女優・井上真央(28)が演じるヒロインの義兄で、最後は夫婦になる初代群馬県令・楫取素彦(かとり・もとひこ)の役。主演の井上をしっかりと支え続ける大沢の俳優としての魅力と素顔に迫る。

 大沢の演技に対する感性は独特だ。

 「カメラの前で自由でいたいんですよ。技(わざ)で演じろと言われれば、トレーニングをしているからできるんですけど、みんなが喜ぶような分かりやすい表情をつなげるようなことはしたくない。もっと裸の感じ、素人的なものを尊重しています。不安定さに色気を感じるんです」と説明する。

 自分が俳優であることについての考えも個性的だ。

 「僕は仕事じゃない時、俳優じゃないんですよね。現場があって、チームがあって、作品の制作があって、初めて俳優になる。その瞬間は強烈に自分が俳優だと思うんですけど、仕事が終われば終わり。周りの諸先輩方を見ると、プロフェッショナルな人がいっぱいいるけれど、そういう意味で僕はアマチュアだと思います」と語る。

 そんな柔らかな感性が魅力の源に違いない。

 井上は大沢の素顔について「面白いことが好きな人。よく私に“なんか、面白い話はないの?”と聞いてくる。少年のような感じ」と明かす。渡辺氏は「男性から見ても、女性にもてるだろうなと思う。大人の洞察力と子供のちゃめっ気を兼ね備えた、無敵の人」と指摘する。

 大沢は「良く言えば“少年っぽい”なんですけど、僕自身はそれを悪く取っていて“大人になりきれない”なんです。無敵なんてとんでもない。敵ばかりですよ。よく自分に対して“もう大人なんだからさぁ”と思うことがあります。大人のふりはできるけど、しょせん、ふりだから、すぐボロが出ちゃう」と苦笑いする。

 しかし、その胸に秘めている、俳優としての覚悟は痛烈だ。そこに、ただならぬ成熟感が漂う。

 「いつも“今の仕事が最後だ”と思うようにしています。俳優はいくら自分が続けたいと思っても、誰かから“やってみない?”と声を掛けてもらわなければ続けられない。何かアクシデントがあれば、それが遺作になってしまう。そうやって生きてきたら20年たってしまいました。遺作が増えたなぁという感じです」と静かにほほ笑んだ。

 これからもまだまだ名場面が作り出される。

 ◆大沢 たかお(おおさわ・たかお)1968年(昭43)3月11日、東京都生まれの47歳。87年からモデルとして活動を始め、その後、俳優に転身。96~98年までテレビ朝日系で放送されたドラマ「劇的紀行 深夜特急」の主演で脚光を浴びる。映画「解夏」(04年)や同「世界の中心で、愛をさけぶ」(同年)などに主演して人気を博し、09年に放送されたTBS系のドラマ「JIN-仁-」で自身と作品が「第18回橋田賞」を受賞。同年からTOKYO FM「JET STREAM」のパーソナリティーも務めている。

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