遠藤憲一「心の中は乙女だよ」 コワモテに隠れたシャイな素顔

[ 2015年4月19日 08:00 ]

「心の中は乙女だよ」。“コワモテ”で眼光が鋭いイメージが強い遠藤憲一が優しい笑顔を見せる

 男の顔は履歴書。メークで化けられる女とは違い、生きざまが如実に表れる。じっくりと対面しながら、その人物に迫る新企画「俺の顔」。初回は“コワモテ”でドラマや映画、CMに引っ張りだこの俳優・遠藤憲一(53)。ヤクザ役がぴったりで、警察官に職務質問されてしまう風貌だが、意外にもシャイで乙女な素顔が隠れていた。

 「心の中は乙女だよ」。1メートル82と大柄で、迫力満点の顔の持ち主が意外な告白。「“お花きれいだなぁ”とか思うし、先輩の女優さんに“こうだよ”とか注意されて、“うん”って聞いてる素直な性格」と明かした。

 物腰は柔らかく、笑うと目が優しくなる。それを指摘すると顔を赤らめ、同席した妻でマネジャーの昌子さん(54)から「照れてる~」と突っ込まれ、さらに真っ赤に。シャイでキュートな乙女ぶりを見せてくれた。

 悪役やひと癖ある役への起用が多く、TBSで放送中の「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」(木曜後9・00)では暴力団の組長役。一瞬の登場で画面全体を引き締める迫力だが「みんな勘違いしてるけど、ヤクザの役作りが一番大変」と力説。「親分はドシッとしたものがあるけど、俺はそういう人間じゃない。ケンカも大嫌いで、殴り合いの雰囲気になったら“やめよう”って抱きついちゃうもん」

 ただ、プロも“ホンモノ”と見紛う鋭さがあるようで、昨年、警察官に職務質問された。「昼日中に新宿をウオーキングしてたら、パトカーが急に止まったの。理由を聞いたら“パトカーを見た目が鋭かったから”だって。それ以降、パトカーを見ないようにしてるよ」

 演技での苦労もあった。2010年のNHK連続テレビ小説「てっぱん」に、主人公の愛情深い養父役で出演。「周りは朝にぴったりな顔の人ばっかりで俺だけ浮いてると思って、しばらくモニターを見られなかった。油断するとギラギラしたものが出てきちゃうから、それを抜くのも大変」

 ただ、強烈な光を放つ目は最大の魅力。「俳優として一つの武器になってると思う。日常では怖がられるけど、この目でやれる役もあるんでね」

 昨年ツイッターに投稿した写真が反響を呼んだ。2年前に80歳で亡くなった父の20代ごろの写真で「“俺、いつこんなの撮ったっけ”って思うくらいうり二つ」と自身も驚く“激似”だ。

 子供の頃の夢は野球選手。俳優の道に進んだのは高校中退後、アルバイトをする中でタレント募集の広告が目に留まったのがきっかけだ。

 高校中退で“ヤメ癖”がつき、仲代達矢(82)主宰の俳優養成所「無名塾」も「ピンと張り詰めた空気が苦手」と10日で辞めた。当時のマネジャーがそれを逆手に取り、経歴に「無名塾10日で退塾」と入れ、「すぐ辞める人がいなかったから、それで会ってみようと思う人もいたみたい。そこから群れを外れたような役に呼ばれるようになった」と振り返る。

 今では幅広い役で重宝されるバイプレーヤー。「仕事がない時期も経験したので、ありがたい。女房に“スケジュールを空けると自堕落な人間になるから休ませない”って言われてる」と笑う。

 結婚25年。30年前、脚本・演出を務めた自主公演舞台を、当時タレント活動をしていた昌子さんが手伝い、知り合った。5年間交際し、映画「どついたるねん」を見た日に突然、当時住んでいた新宿で親しい近所の家を、昌子さんを連れて「この人と結婚します」とあいさつに回ったという。

 昌子さんは「生きるか死ぬかの映画を見てアドレナリンが出ちゃったのかな。思いつき人間なので」と話すが、男らしさとシャイな部分を併せ持つ遠藤らしい“プロポーズ”。「押し切られた感じだけど、優しい。私に対しても怒ったりしないです」と、公私にわたるパートナーは証言した。

 遠藤も家庭の様子を「女房が強いに決まってるじゃん」と苦笑い。インタビュー終了後、記者と話し込む昌子さんに「行くよ」と声を掛けた顔は、どの作品でも見たことがない優しいものだった。

 ◆遠藤 憲一(えんどう・けんいち)1961年(昭36)6月28日、東京都生まれの53歳。83年にNHKドラマ「壬生の恋歌」でデビュー。08 年のTBS「SCANDAL」以降、連ドラへの出演が増え、09年のNHK「外事警察」、13~14年のテレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどに出演。出演映画は「クライマーズ・ハイ」(08年)など。コミカルな表情を見せる「ピザーラ」などのCMでも話題。

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