大林宜彦監督 愛川欽也さんしのぶ 最後は「目と目を見て何も言わずに握手」

[ 2015年4月19日 17:26 ]

映画「あの日の声を探して」のイベントに出席した大林宜彦監督

 日本映画界の大林宜彦監督(77)が19日、都内で行われた映画「あの日の声を探して」(24日公開)の試写会付きティーチインイベントに出席。15日に死去した愛川欽也さん(享年80)との思い出を語った。

 故人と最後に会ったのは、今年1月にテレビ東京「出没!アド街ック天国」にゲスト出演したときで、「風邪をこじらせていると聞いて、ほとんどおしゃべりにならなかったですね。目と目を見て何も言わずに握手をしました」と回顧し、「あのニッコリとした笑顔の中、自分もあなたも裏切らないという覚悟を感じました。惜しいですね」と愛川さんに思いをはせた。

 愛川さんが出演し、大林監督が演出した映画「私の心はパパのもの」については、「大好きな作品だし、楽しかったなあ」と笑顔を見せ、「お互いに忙しいから2作目はかないませんでしたけど、大事な作品な一本ですよ」としみじみと語った。さらに、「自主的に8本の映画を作って、ご自身で映画館を作って上映していたなんて素晴らしい映画人ですよ」と称賛したが、「その部分が情報としてなにも伝わってこなくて、僕も知らなかった。欽也さんの切実な願いが同世代の僕たちにも伝わってなかったことが多いのは、日本人の損失。大事なことが伝わらない平和難民だと思います」と訴えた。

 映画「あの日の声を探して」は、2011年に現代の白黒無声映画『アーティスト』でアカデミー賞作品賞、監督賞など全5部門を受賞したミシェル・アザナヴィシウス監督が、今も世界のどこかで起きている戦争を子どもから見た視線で描いたもので、反戦を強く訴える大林監督は「日本人が今観なくてはいけない映画」と称賛している。

続きを表示

2015年4月19日のニュース