愛川欽也さん遺作ドラマあった 全12話中3話撮了も…放送予定なし

[ 2015年4月19日 06:25 ]

愛川欽也さんの遺作映画「満洲の紅い陽」初回上映が行われたキンケロ・シアター前で、列をつくるファン

 15日に80歳で死去した司会者で俳優の愛川欽也(あいかわ・きんや、本名井川敏明=いがわ・としあき)さんがドラマを制作中だったことが18日、分かった。所属事務所が明かした。愛川さんが監督、主演、プロデュースの刑事ドラマで、全12話中、3話分を撮り終えていたという。

 役者魂、制作意欲は最期まで衰えることはなかった。愛川さんは昨年9~11月、最後の監督映画となった「満洲の紅い陽」を撮影。並行してドラマの制作にも精力を注ぎ込んでいた。

 ドラマは「港古志郎(みなとこしろう)警視」。愛川さんが監督、主演のほかプロデュースまで務めた作品。捜査過程だけでなく、事件に関わる人物の心理を丁寧に描いた異色の刑事ドラマだ。

 2011~13年まで3シーズンが制作され、BSや地方局で放送。昨年、第4シーズンの制作を始めていた。1シリーズは全12話。所属事務所によると、第4シーズンの「3話は撮り終えていた」という。カメラマンのスケジュールの都合で一時中断。映画「満洲…」の撮影終了後に再開する予定だったが、映画のクランクアップ直後に肺がんが判明し、愛川さんは仕事をセーブ。結局、未完のままで終わってしまった。全12話を想定していたことから、事務所は「現状では(撮影を終えた)3話の放送予定はない」と話している。

 この日、生前から決まっていた映画「満洲…」が東京・中目黒のキンケロ・シアターで公開された。劇場には愛川さんの遺作映画を見ようと100人近いファンが訪れた。初回上映が終わると、劇場内には大きな拍手が湧き起こった。

 ロビーには劇場近くにある自宅に届いた供花が飾られた。東京都葛飾区在住の主婦(78)は「“トラック野郎”以来のファン。亡くなって上映中止になるかもと思っていましたが、生きている愛川さんを見られてジーンとしています」と話した。映画は26日まで上映される。愛川さんが私財を投じて設立した同劇場は、今後も貸し劇場として続いていくものとみられる。

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