大島優子 初主演ドラマで闇の顔「これまで見せたことがない一面」

[ 2015年4月14日 10:00 ]

TBSの連続ドラマ「ヤメゴク」で警察官・麦秋を演じる大島優子。常に喪服で、左目は黒髪で隠れている

 今まで見たことのない大島優子(26)がそこにいる。黒い髪に喪服、決して笑顔を見せず、全く感情を表さない。「AKB48の太陽」とも言われた、明るく、朗らかなキャラクターを完全に封印した。16日にTBS系でスタートする初主演ドラマ「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」(木曜後9・00、初回は後8・57)。秘められていた大島の魅力が全開になる。

 これもまた大島優子である。怖いほどの無表情。暗闇のイメージ。それはファンが今まで見たことがなかっただけで、実は内在していた一面だ。

 「私にも、いろんな一面があると思います。私がよく言われるのは“明るい、元気、活発、いつも笑顔”ですけれど、それはアイドルとしてやるべきことをやっていたからという部分があります。自然体で何もつくろうとしなければ、麦秋(ばくしゅう=“ヤメゴク”の主人公)のように無表情で何も感情を表さない面があるかもしれません」

 一見、そのイメージに驚かされるが、よく見れば意外に違和感がない。本人も撮影に集中し、それを心から楽しんでいるように見える。

 「感情を全く外に表さないのは、楽と言えば楽です。麦秋の気持ちに収まるのは居心地がいいですね。私がこれまで見せたことがない一面を見ていただくことになるので、そこは驚いていただけたらうれしいです」

 初めて挑む殺陣では、潜在能力の高さも発揮した。

 都内にある古くて大きな民家を使用したロケ。第1話で、ヤクザの親分宅に乗り込んだ警察官・麦秋が庭に出て、子分たちを武術で次々と倒していく場面だ。リハーサルの時、大島は「どう動くか覚えていない…」と漏らした。この日のクランクインを前に、殺陣の練習をしたのは1回だけだったという。少し不安げな大島の前で、殺陣指導の女性が一連の動きをして見せるが、それを1度見ただけで覚えるのはとても無理そうな印象だった。

 しかも、指導の女性が運動靴なのに対し、大島はハイヒール。土の上に石が並び足場が悪い庭では動きが相当に制約されることが予想された。

 「本番!」。堤幸彦監督(59)の無情とも思えるスタートの合図が現場に響いた。

 緊張感が漂う中、大島が動きだす。迷いは全く感じられなかった。勢いよく小走りに土と石の上を進み、男たちを1人、2人、3人、4人と倒していく。それは「覚えていない」と言ったのが冗談だったかのような自然な動きだった。

 「1回見ると覚えちゃうんです。手、足などの細かい動きを見ているのではなく、全体の動きを見ています。映像として、流れで覚える感じです。ダンスと同じですね。ハイヒールで動けるのも、常にヒールで踊っていたからでしょう」

 より良い映像を求めて2回目の本番。大島の動きは鋭さを増し、1回目より格段に向上した。

 「芝居は、その瞬間その瞬間に生まれるものもあるので、必ずしも回数を重ねればいいというわけでもないけれど、アクションはダンスと同じで、やればやるほど感覚が分かってきます。だから、ダンスをやっていて本当に良かったと思いました。AKBでやったことが生きている、糧になったと、実感しています」

 女優になるためにAKBを卒業したが、やはり今でもAKBとは密接な関係にある。今年1月に行われたAKBのライブイベント「リクエストアワー」では、HKT48の指原莉乃(22)らとの4人組ユニット「Not yet」の一員としてパフォーマンス。この時、周囲を驚かせたのは、現役メンバーである他の3人よりダンスの切れが鋭かったことだ。

 「やはり、ほかの3人には負けたくありませんでした。あの頃は“銭の戦争”(フジテレビ系の連続ドラマ)に出演していたんですけれど、故郷であるAKBに帰ったら“昔のままだよね”と言われたかったんです。練習する時間がなかったから、めちゃくちゃきつかったですけど、1曲だけだったら無理しても大丈夫だろうと思って、無理をしました」

 そこに激烈ともいえる覚悟がうかがえる。大島優子がなぜAKBのトップになり得たのか、そして、今後、女優として成功できるのか。その答えもそこにありそうだ。

 「“卒業した”というのは、ゲームに例えれば、一つのステージをクリアして次のステージに挑んでいるということ。だから、やれて当然で、劣化しちゃいけないと思っています」

 そう話すと、いつものように明るい笑顔を見せた。

 ◆大島 優子(おおしま・ゆうこ)1988年(昭63)10月17日、栃木県生まれの26歳。7歳から子役として芸能活動を始め、2006年にAKBのオーディションに合格。10年8月発売の「ヘビーローテーション」でセンターを務めるなど中心メンバーとして活躍。14年6月に卒業。同10月公開の映画「紙の月」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞などを受賞。ドラマは「私が恋愛できない理由」(フジ系)「安堂ロイド」(TBS系)などに出演。

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