美味しんぼ 鼻血「被ばく」「今の福島に住んではいけない」

[ 2014年5月12日 05:30 ]

 東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出す描写が議論を呼んでいる漫画「美味しんぼ」(雁屋哲・作、花咲アキラ・画)の連載漫画誌の最新号に、福島県双葉町の井戸川克隆前町長が鼻血の原因をめぐり「被ばくしたからですよ」と語る場面があることが11日、分かった。

 「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の12日発売号では、井戸川氏が前話(先月28日発売号)に引き続き「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いる」として、被ばくを原因に挙げた。さらに「今の福島に住んではいけないと言いたい」と発言した。福島大の荒木田岳准教授が除染作業の経験を基に「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと思います」と語る場面もある。

 同作は先月28日発売号で、主人公の新聞記者・山岡士郎が福島第1原発を取材後、鼻血を出したり、ひどい疲労感に襲われる描写があった。山岡記者を診察した医師は「福島の放射線と鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と指摘した。

 この問題をめぐって7日、双葉町が小学館に対して「町民だけでなく、県民への差別を助長させる」などと抗議文を送付。石原伸晃環境相も9日に「風評被害を引き起こすようなことがあってはならない」と原発事故による被ばくと鼻血などの関係を否定するなど、波紋が広がっていた。福島県も12日、ホームページに反論を掲載する予定。同作は震災後の福島を扱う「福島の真実篇」を19日発売号まで連載予定。雁屋氏はブログで「本格的な反論は、19日発売号が発行されてからにする」としている。

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2014年5月12日のニュース