桂文枝 襲名披露1年8カ月、国内外112公演“完走”

[ 2014年3月9日 06:45 ]

「大千穐樂」を迎えた襲名披露公演で口上を述べる桂文枝

 落語家の桂文枝(70)が8日、大阪市北区のフェスティバルホールで襲名披露の最終公演「大千穐樂(おおせんしゅうらく)」を開き、代名詞である創作落語の新作「滝廉太郎物語」を口演した。襲名披露公演ツアーの1年8カ月を振り返り、「途中で倒れるんちゃうかと思ったこともあったが(最終日を)迎えられてよかった」。国内外112公演、20万人を動員した大規模ツアーを締めくくった。

 フィナーレを飾るにふさわしい一作だ。通算234本目となる新ネタ「滝廉太郎物語」は、明治の作曲家・滝の生涯を描いた人情噺(ばなし)。ストーリーの転換点で合唱団「六本木男声合唱団倶楽部」の80人が「箱根八里」「荒城の月」「花」をコーラスした。

 チャレンジし続ける文枝らしい、落語と合唱の初コラボ。最後は、合唱団をバックに文枝が一門38人を連れだって総勢119人で「花」を熱唱した。音楽の殿堂に、笑いと美声が響き渡った。

 日本における西洋音楽のパイオニアに、創作落語を切り開いた自身を重ねたネタは、昨年12月から3カ月かけて仕上げた。「これまでにないくらい苦戦した」。滝を題材に選んだ理由は代表曲「花」と「荒城の月」だった。演目の副題は「熱き想(おも)いを花と月に馳(は)せて」。なんばグランド花月などの名称で継承され、吉本興業創業者の吉本吉兵衛、妻のせいが「花と咲くか、月と陰るか、全てを賭けて」との思いから寄席小屋の名称にしたとされる「花月」とかけたのだ。

 公演前には、師匠の先代文枝さんの墓参りをし、「無事に終えられますように」と手を合わせた。正月には、文枝襲名を相談するなど親交があった故立川談志さんの自宅を訪問し、夫人と弟子らにあいさつ。1月末と2月下旬の2度、大分県にある滝のお墓へも足を運んだ。

 ツアーを開始した一昨年7月は、若手時代のニックネームで愛着ある三枝の名と別れる心境を投影した「さよならサニー」をネタ下ろし。多忙を極めた1年8カ月は3キロ近く体重が落ち、「最後まで走りきれるのか」と不安を漏らすこともあったが完走できた。襲名1周年公演で披露した「嵐を呼ぶ男~石原裕次郎物語」に続く、新ネタ締めは創作落語への情熱に他ならなかった。

 「私には(創作)300作という目標がある」。その表情には、パリやベトナム、タイの海外3公演を含む112公演を完遂したすがすがしさと、今後にかける決意があふれていた。

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